子宮内膜症は、エストロゲン依存性に増殖するが、古典的なERαを介するシグナル伝達経路はむしろ少なく、estrogen-related receptor (ERR)αの代表的共役因子であるPGC-1αを介した伝達経路が存在する。今回の研究では、PGC-1αの共役因子の1つRXRαのアンタゴニストであるHX531が、PGC-1αを阻害し、ERβ、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8、そして抗アポトーシス遺伝子であるsurvivinの上昇を抑制することにより、子宮内膜症細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。PGC-1αを介した系は新たな治療戦略確立に有望であることが示された。 従来、エストロゲン依存性増殖機構は古典的なERαを介するシグナル伝達経路によってのみ説明されてきたが、本研究では子宮内膜症においてPGC-1αを中心とした新たなエストロゲン依存性増殖機構を示した。 さらにこの系を阻害することによって子宮内膜症の細胞増殖が抑制されることを示した。現在まで子宮内膜症を完治させる治療法はなく、疼痛を緩和させるための内分泌療法が存在するのみであった。本研究成果は新たな治療戦略確立に有望であることが示された。
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