研究課題
抗癌剤抵抗性の難治性卵巣癌に対してはセカンドライン以降に確立された治療法が乏しい。そこで本研究では難治性卵巣癌に対し、薬剤感受性試験とゲノム解析結果の双方から個別化治療法の確立と実臨床に導入するための基礎研究に着眼して実施している。本年度は卵巣癌症例の癌病変の腫瘍組織よりゲル包埋3次元培養法して作成したオルガノイド細胞について、次世代シークエンサーによるゲノム解析を実施した。病変組織とオルガノイド細胞の双方より抽出したDNAより、次世代シークエンサー用ライブラリーを作成し、分子バーコード法による275遺伝子および1025遺伝子のターゲットシークエンス解析を行った。解析結果は現時点でアノテーション中であり、半分が終了している。以後、ターゲットシークエンス解析結果が明らかになり次第、検出された遺伝子変異を考慮した3次元培養や腹水含有培地培養により個別の生体内に類似した生理的な環境を模倣した培養条件下にて培養された細胞による薬剤選択と薬剤感受性試験を実施し、個別の症例にマッチした治療薬剤の選択を行うことで、現行の治療に比較してさらに高感受性の治療法へとつなげる予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度は卵巣癌組織由来のオルガノイド作成と次世代シークエンサー解析に特化して実験を行った。本来オルガノイドの作成は培地に含まれる細胞増殖因子等の含有成分の至適濃度を決定する条件検討に時間を要するが、これまでの検討により本年度は安定的にオルガノイド作成が可能となり遺伝子解析へと進めることができるようになった。
オルガノイドが安定的に作成可能となったため、遺伝子変異結果にもとづいた抗癌剤および化合物スクリーニングによる薬剤感受性試験を実施し、個別化治療へと応用する予定である。
本年度は既存の試薬や消耗品類を再活用したため次年度使用額が生じた。次年度はオルガノイドおよび患者腹水より樹立した腫瘍細胞株の抗がん剤および化合物スクリーニングを予定しているため本年度使用予定の研究費は薬剤感受性試験のための試薬および消耗品の購入に充当することを予定している。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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