研究課題/領域番号 |
18K09300
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
池田 仁惠 東海大学, 医学部, 講師 (20365993)
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研究分担者 |
信田 政子 東海大学, 医学部, 講師 (10338717)
三上 幹男 東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
柴田 健雄 東海大学, 健康学部, 講師 (30366033)
平澤 猛 東海大学, 医学部, 講師 (70307289)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 血清バイオマーカー / 糖ペプチド / 質量分析 / 人工知能 / 深層学習 / リキッドバイオプシー |
研究実績の概要 |
卵巣癌は早期診断も難しく発見時には進行癌であることが多く予後不良である。予後改善のためには早期診断への新たな発想・技術の導入が不可欠である。申請者らは臨床的に最も汎用されている卵巣癌マーカーCA125よりも有意に子宮内膜症性嚢胞と明細胞腺癌を鑑別する血清糖ペプチドマーカーFS-C4BPを液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)による網羅的血清糖ペプチドスペクトラ解析(CSGSA法)により同定した(特許出願番号PCT/JP2015/068390)。本研究では、従来の単一分子の血清腫瘍マーカー測定では卵巣癌早期診断は不可能であることからその古い概念を打ち破り、究極のCombination Assayと思われる網羅的血清糖ペプチドピーク(約20000ピーク)と人工知能を用いた卵巣癌早期診断の開発(CSGSA法を用いた深層学習(人口知能)による診断)を目標としている。 Training set(I期卵巣癌59例X非癌166例)、Test set(I期卵巣癌29例X非癌82例)、合計I期卵巣癌88例X非癌248例の血清のCSGSA法にて得た糖ペプチドピークを用いて両Setの両群の糖ペプチドピークを2次元バーコードのように画像化してDeep learning(Mathworks 社MATLAB)にて分離を試みたところ、Training setでは100%、Test setでは93%、のAUCで分離が可能であった。現在、この結果について論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はすでに方法論はほぼ確立していることから、その診断精度を上げるために多くの患者血液(卵巣癌、子宮内膜症性嚢胞、良性卵巣腫瘍、健常人)を必要とする。そこで本年度は日本中の血液バイオバンクより血清の収集を行う。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣癌は、前癌病変が分かっているタイプI型と de novo発生のタイプII型があり、健常人、前癌病変患者、卵巣癌各タイプ型・各進行期(I-II期XIII-IV期)患者の血液の組み合わせを変えることで、それぞれのカテゴリ-を選別する判別法としての確率(新たな腫瘍マーカーの概念:単一分子のマーカー値でない)が計算される(例、子宮内膜症性嚢胞の経過観察に有用な子宮内膜症性嚢胞例X卵巣明細胞腺癌I-II期例の組み合わせ、卵巣癌検診に生かすための卵巣癌I-II期X健常人の組み合わせ、など)。多数例を用いた検討で、各組み合わせの判別のためのAUSが99%を超えるようになるまでの診断システムの向上を目標に症例数の追加、分析、検討を重ね、そこが可能になることを確認の上、全国規模の臨床試験に進みたい。あるいは海外機関との共同研究に持ち込みたい。人工知能に関するテクノロジーの発展も早いことから、米国の人工知能専門家にも解析の依頼を行っており、我々の2次元バーコード化してDeep learningを行い分離する方法と比較検討を行い、さらなる精度の改善をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、すでに研究計画申請承認前よりも前に行っていたパイロット研究の結果の分析・検討とサンプルの収集を中心に行っていたために経費が予想よりも少なくて済んだ。次年度には採集されたサンプルを用いた分析、論文投稿費用、学会報告を行うことに繰越金を充当する予定である。
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