研究課題
上皮性卵巣癌(epithelial ovarian carcinoma:EOC)を初期に発見できるような検診法や腫瘍マーカーは確立されていない。今回我々は従来の単一分子の血清腫瘍マーカー測定による診断ではなく、網羅的血清糖ペプチドスペクトラ解析(Comprehensive Serum Glycopeptide Spectra Analysis (CSGSA), Hayashi M, Ikeda M, et al. Cancers. 2019 Apr 27;11(5))に、AI(artificial intellectual technology)を用いて初期EOCの鑑別診断を試みた。CSGSA解析とは、血液より糖蛋白を抽出、糖ペプチドとして液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)に投入し、そこより得た2次元データから再現性のある約2000ピークを抽出し、そのすべてのピークデータを患者間で比較して単一腫瘍マーカーの同定、あるいはすべてのピークデータを用いて病態の判別を行う診断システム(究極のCombination Assay)の構築を目指すものである。上皮性卵巣癌患者および非癌患者の血清を用いてCSGSAを施行した。得られたCSGSAピーク値をすべて用いてそのCSGSAピーク値の発現パターンを表す2Dバーコードを作成し、さらにCA125とHE4の値で色付けした。この色付き2Dバーコードにディープラーニングを行い、初期EOCの鑑別を試みた(CSGSA(AI))。CSGSA(AI)では、Training Setにて作成したアルゴリズムにTest Setを投入すると、Accuracyは89%であった。CA125のAccuracyは79% 、HE4では85%であり、本診断方法は初期EOCをより正確に診断可能であった。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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