研究課題/領域番号 |
18K09306
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉里 俊幸 久留米大学, 医学部, 教授 (80264034)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 早産 / 細菌叢 / 網羅的遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、既に採取している切迫早産未破水症例20例の羊水について、次世代シークエンサーを用いたバイクロバイオームの遺伝子網羅的解析を行った。解析には、バクテリアの必須遺伝子である16SrDNAの中で、可変領域V1-V4をPCR法で増幅し、次世代シ-クエンサーで増幅三筆の塩基配列決定を行った。シークエンス後の細菌叢解析には、QIIMEパイプラインを用いて行い、OUT解析し、既知のレファレンスゲノムデータベースに相同性検索を行い、菌種の同定や菌叢組成を解析した。mycoplasma, ureaplasmaについては、別途mycoplasma, ureaplasma特異的primerを用いて、検出を行った。 まず、先行して行ったパイロット研究から得られた未破水症例の羊水細菌叢の再現性について検証を行った。しなしながら、パイロット研究で認められた細菌叢とは異なっていた。パイロット研究では、羊水細菌培養にて既に細菌が同定されている検体を中心として実験系の検証を行ったが、平成30年度に解析を行った検体は、細菌培養では検出できなかった(即ち臨床的には無菌と判断される)症例であった。パイロット研究結果との乖離の原因として、羊水中に解析可能性な細菌の菌量が極めて少なかったことが一因と考えている。 従って、今後は解析すべき検体の再検討の必要に迫られている。具体的には、後述する様に、検体内に十分量の菌量が確保されている対象(検体)を解析することが必要だと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述したように、未破水症例における羊水には、菌量そのものが少なく、解析の対象として、必ずしも適切でないと考えている。 令和元年度以降は、細菌が多く含有していると考えられる検体、即ち前期破水症例における羊水、および切迫早産ないし前期破水症例における膣分泌物を対象として解析することとした。破水症例における羊水中には、未破水症例と比較して菌量が極めて多いことが予想され、既に採取している破水症例の羊水細菌叢の解析に着手したところである。 他方、未破水症例における絨毛膜羊膜炎、前期破水の原因として、腟からの上行性感染の関与があることは周知のことであり、このような症例を対象として経時的に腟分泌物を採取し、膣内細菌叢の解析も併せて行うべく、既に検体の採取を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度では既に採取している破水症例における羊水細菌叢の解析を開始した。切迫早産症例における腟内分泌物採取は既に平行して行っており、年度内に同様にバイクロバイオームの遺伝子網羅的解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は予想された結果が得られなかったため、当初の計画通りの支出ができなかった。前述した様に実験計画の見直しを行っており、令和元年度はそれに沿って支出していくつもりである。
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