研究実績の概要 |
正常単胎妊婦21例を対象とし、妊娠20-24週および32-36週に腟分泌物を採取した。経分泌物からDNAを抽出した後、16S ribosomal RNA遺伝子におけるV1-V2 hypervariable regionをPCRを用いて増幅し、operational taxonomic unit(OTU)解析を用いて菌叢の同定を網羅的に行った。妊娠の進行に伴う菌叢の変化と臨床的背景との関連について検討した。 1)21症例、42検体は7つのクラスターに分類することができた。腟分泌物を構成する主たる菌種は、Lacobacillus属の4菌種(L. crispatus, iners, jensenii, gaseri)およびbacterial vaginosis(BV)関連菌であった。2)17症例では、2つの採取期間で同じクラスターに属し、残り4症例では、異なるクラスターを形成した。 妊娠中における腟細菌叢は、妊娠の進行と共に、菌叢の種類は多様性が減少し、安定した筋層を形成する一方、子宮手術歴を有する妊婦では、BV関連性の菌種が認められ、むしろ多様性が増加していることが明らかとなった。
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