非明細胞癌と比較して明細胞癌において低DNAメチル化により活性化している遺伝子は22遺伝子、逆に高DNAメチル化により抑制されている遺伝子が276遺伝子あった。明細胞癌において低DNAメチル化により活性化している遺伝子は22遺伝子はHNF1B転写に関わる遺伝子が含まれ、高DNAメチル化により抑制されている遺伝子が276遺伝子はERネットワークに含まれる遺伝子が含まれていた。 卵巣明細胞癌組織を用いたエクソームシークエンス解析を行った。卵巣明細胞癌では、KRAS-PI3Kシグナル、MYC-RBシグナル、SWI/SNF複合体に関わる遺伝子に、SNVsやコピー数異常が多いことがわかった。具体的には、51%にPIK3CA遺伝子のSNVsが、26%にPIK3CA遺伝子の増幅が、10%にKRAS遺伝子変異が、18%にKRAS遺伝子増幅を認め、シグナル全体としては82%の明細胞癌にKRAS-PI3Kシグナルに関わる遺伝子にゲノム異常を認めた。MYC-RBシグナルでは、64%の症例にMYC遺伝子増幅、31%にRB遺伝子欠失を認め、全体として79%の症例にMYC-RBシグナルに属する遺伝子にコピー数異常を認めた。SWI/SNF複合体は、62%の症例にARID1A遺伝子変異を認め、21%の症例にARID1A遺伝子の欠失、ARIB1B遺伝子欠失、SMARCA2遺伝子欠失を認めた。SMARCA4遺伝子欠失は41%に認めた。SWI/SNF複合体に属する遺伝子は全体として85%にゲノム異常を認めた。これらの結果は、明細胞癌の診断においてDNAゲノムメチル化のみならずゲノム異常の同定も有用であることが示唆された。 現在卵巣癌の患者の手術前の血液検体、手術組織を回収保存中である。一部血液検体を用いてcfDNA抽出を試みた。卵巣癌Ⅳ期の患者血漿1mlから22.43ng/μl、卵巣癌Ⅰ期の患者血漿500μlから23.75ng/μl、子宮内膜症患者の血漿1ml から7.75ng/μl、健常人の血漿800μlから1.03ng/μlのDNAを抽出した。
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