研究課題
BNCTの治療効果予測因子の検討を行った.当初のLAT1レセプターの発現率に加え,腫瘍細胞の核/細胞体積比(N/C比)がBNCTの治療効果予測因子となり得る可能性が示唆され,今までの臨床研究を行った症例のうち,9例の病理組織学的所見から解析した結果,N/C比の高い症例は実際の線量と同等,もしくはそれ以上の治療効果が得られている可能性が示唆され,N/C比の計測はBNCT治療効果予測因子になり得る可能性があることがわかった.その後始まった加速器での頭頸部癌に対するBNCTでは,照射後の治療効果にN/C比が大きく関与していることが示唆された.また以前まで解析していたBNCT治療前に行った18FBPA-PET検査におけるホウ素化合物の腫瘍集積比を,N/C比計測症例と比べたところ,N/C比と併せて線量評価を行うAbsolute biological effectiveness (ABE) doseが実際の照射線量と治療効果とに大きな相関がある可能性が示唆され,今後BNCT施行症例の治療前効果予測因子として,従来から言われている1)腫瘍に対して照射できる中性子束の線量に加えて,2)ホウ素化合物の腫瘍集積度,3)腫瘍組織のN/C比が大きく影響する可能性が示唆された.今後は各組織型のLAT1発現率と治療効果の相関の計測が必要であることが今回の研究で示唆された.
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INNERVISION
巻: 36 ページ: 59-61
Applied Radiation and Isotopes
巻: 163 ページ: 109212~109212
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