研究課題/領域番号 |
18K09315
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20451809)
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研究分担者 |
赤松 裕介 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (00794869)
尾形 エリカ 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (20794853)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ECAP / 人工内耳 / 成績 / NRT / 内耳奇形 / 髄膜炎 |
研究実績の概要 |
人工内耳患者のECAPを測定し、ECAPの日本語聴取成績と関連する因子を解明し達成可能な聴取能を予測することを目的としいる。 本年度は人工内耳手術を行った48耳より新規のデータを取得した。過去に施行したものを合計し、小児287例、成人110名522耳のECAPのデータをもとに解析を行った。手術中のECAPは小児例で368耳中353耳(96%)、成人例では105耳中105耳(94%)で反応が得られた。内耳奇形例に限定するとECAPは54例中42耳(78%)において反応が認められることが分かった。内耳奇形の中ではIP-Iおよび内耳道狭窄例で反応が認められないことが多く、IP-II,Common Cavity症例では反応が認められることが分かった。内耳奇形で術中のECAPが認められない場合、一例を除き術後もECAPの測定ができなかった。その1例も1電極のみの反応であった。しかしながら内耳道狭窄例を除くと術後聴取能を測定しえた7例中4例はECAPを認めないにもかかわらず術後の単音節聴取能が50%以上と良好であった。一方、内耳道狭窄例ではいずれも25%以下と不良であった。成人例では術中ECAPの測定できなかった5例中4例は術後も測定できなかった。術後測定できなかった4例中3例は髄膜炎後または蝸牛骨化を認めた症例であり、これらの聴取成績は不良であった。以上からECAPの有無で術後聴取能を評価ができない症例も存在するが、内耳道狭窄例や髄膜炎症例ではECAPの有無は術後の聴取能予測に役立つ可能性が示唆され、今後症例を増やしてゆく必要があると思われた。術中にECAP反応が認められたにもかかわらず、術後測定が不可能であった症例は、30例存在した。2名を除き、測定中にMCLを超えてしまい、測定に不快感を伴う恐れがあるため測定ができなかったものと考えられ、術中の評価の有用性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規症例も着実に増加している。 今後解析を追加する予定。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も症例を追加して解析を続ける予定である。 髄膜炎によるECAP術後成績に関して詳細に検討を行う予定である。また両側症例が増加してきたため個人内での人工内耳時期とECAPについての検討を行ってゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で論文校正などの執行ができなかった。来年度に行う予定。
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