本年度はウィルス関連頭頸部扁平上皮癌のウィルスの関連を調べるために、まずはまったく侵襲がない唾液検体からの検出が今後の臨床応用に関して有用であると考えた。そのため倫理委員会に申請し、頭頸部悪性腫瘍患者からの匿名化した唾液検体を前向きに集めることをまず始めた。またこれまでのゲノムデータから、HPV16陽性頭頸部癌にあまねく発現しているHPV16のゲノム位置に対する特異的なプライマー、プローブの作成に成功した。あわせて先行研究からFusobacteriumに対するプライマー、プローブも作成した。唾液検体からのDNA抽出方法に関してもいくつかの方法があるが、リアルタイムPCRに耐えられる濃度での抽出方法を同定することができた。より精密なリアルタイムPCRのために、これまで施設に常備されていた9500からQuantStudio7.0flexの利用が可能となったのが2019年からであり、今後保管されている唾液検体からのMicrobiome測定を順次行う予定である。これまでのところ同意を得られた患者検体10検体のDNAの抽出に成功しており、唾液検体から逐次HPV16およびFusobacteriumを検出し、臨床指標との関連を調べていく予定である。Fusobacteriumに関しては唾液から検出できることそのものが新しい知見であると考えられ、本研究は来年度以降はかなり順調に経過していくものが想定されている。
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