研究実績の概要 |
好酸球性鼻副鼻腔炎におけるアラーミンの役割について、HMGB1とCalprotectin(S100A8/A9)、IL-33について検討した。 1)HMGB1はアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎鼻汁中に高濃度に存在し、その刺激は、RAGE受容体を介して培養鼻粘膜上皮細胞からのIL-8,IL-6の産生とmRNA発現を引き起こした。また、TNF-alpha刺激によって、培養鼻粘膜上皮細胞からのHMGB1産生とmRNA発現が増強された。 (2)ダニ抗原やアルテリナリア刺激、黄色ブドウ球菌由来プロテアーゼなどの刺激により、培養正常気管支上皮細胞からのCalprotectin産生とmRNA発現が増加した。Calprotectinは、その受容体であるTLR4とRAGEを介して、ATPとの共刺激で、培養正常気管支細胞からのIL-25,TSLP産生とmRNA発現を増強させ、さらにアルテリナリア刺激によるIL-25,TSLP産生とmRNA発現も増強させた。 (3)IL-33遺伝子を導入したヒト気道上皮細胞では、ダニ抗原刺激でIL-33が産生された。ダニ抗原刺激による細胞上清で好塩基球株KU812細胞を刺激するとIL-5が産生されたが、この反応は抗IL-33抗体や抗ST2受容体抗体で消失した。 (4)ダニやアルテルナリア、黄色ブドウ球菌由来のプロテアーゼ刺激で、培養ヒト正常気管支上皮細胞からのIL-33分泌が認められたが、上皮由来の内因性プロテアーゼインヒビター、Cystatin AとSPINK5で抑制された。 (5)ダニ抗原刺激やATP、Poly I:C刺激で培養正常気管支細胞からNADPH oxidaseが産生され、ダニやアルテルナリア、黄色ブドウ球菌由来のプロテアーゼ刺激で産生される培養正常気管支上皮細胞からのIL-33分泌はDUOX1のsiRNAで抑制された。
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