研究課題
平成27年度科学研究費(基盤研究(C))では、白黒ストライプを平面スクリーンに投射して視刺激を加えることにより、“直線的”な視覚刺激とし、これが半規管動眼反射(semicircular canal ocular reflex: ScOR)に可塑性を引き起こすかどうかについて検討を加えた。その結果、直線的な視覚刺激で刺激すると、ScORの利得には変化を認めなかった(四戸達也、他.耳鼻臨 2020;113:197-201)。今回は、白黒ストライプを平面スクリーンに投射して視刺激を加えることにより、“直線的”な視覚刺激とし、これが耳石器動眼反射(otolith ocular reflex: OOR)に可塑性を引き起こすかどうかについて検討を加えることを目的に、偏垂直軸回転(OVAR)条件下で同様に、“直線的”な視覚刺激を加えながら回転刺激を連続して加えた際のOORの適応現象について検討した。これまでに神経耳科学的な症状を呈したことがない22~38歳(平均26.9歳)の健常成人26名(男性17名、女性9名)を対象とした。平面スクリーンに指標を投射して視覚前庭矛盾刺激を与えながらOVAR条件下で回転刺激を20分間与え、OVAR条件下におけるOORの利得に及ぼす影響について検討を加えた。回転刺激は、同方向視覚刺激(-1刺激)または、逆方向視覚刺激(×2刺激)の二つの条件とした。その結果、-1刺激では、OVAR条件下でのOORの利得は刺激前後で有意に減少した。×2刺激では、いずれの条件下においてもOORの利得の変化を認めなかった。(望月文博、他.Equil Research 2020; 79: 164-170)。OORの可塑性を引き起こすには、“直線的”な視覚刺激の使用が必須であることが証明された。
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Equilibrium Research
巻: 79 ページ: 244・250
巻: 79 ページ: 164・170
耳鼻咽喉科展望
巻: 63 ページ: 59・65