現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-99a-5p (guide strand)およびmiR-99a-3p (passenger strand)の発現を、頭頸部扁平上皮癌臨床検体で検証した結果、両マイクロRNAは、癌部で有意に発現抑制されている事が示された(p < 0.0001)。また、The Cancer Genome Atlas(TCGA)データベースを用いたコホート解析から、これらマイクロRNAの発現抑制は、頭頸部扁平上皮癌患者の予後に影響を与えている事が明らかになった(OS; miR-99a-5p: p = 0.0008, OS; miR-99a-3p: p = 0.0012)。次に、これらマイクロRNAを頭頸部扁平上皮癌細胞株、FaDuおよびSAS に核酸導入し、癌抑制効果を検討した。その結果、両マイクロRNAは、癌細胞の遊走能や浸潤能を顕著に抑制した。これらの事から、miR-99a-5pおよびmiR-99a-3pは、頭頸部扁平上皮癌において、癌抑制型マイクロRNAとして機能している事が明らかとなった。miR-99a-3p(passenger strand)が頭頸部扁平上皮癌の分子病理に関与している事は初めての報告である。更に、頭頸部扁平上皮癌において、miR-99a-3pが制御する癌促進型遺伝子の探索を行った。その結果、32種類の遺伝子がmiR-99a-3pの標的分子である事が明らかとなった。これら遺伝子について、TCGAデータベース解析を施行した結果、以下の10遺伝子が、頭頸部扁平上皮癌患者の予後に関与している事が明らかとなった(STAMBP, TIMP4, TMEM14C, CANX, SUV420H1, HSP90B1, PDIA3, MTHFD2, BCAT1, SLC22A15)。
|