研究課題
当初計画していた下咽頭癌FFPE標本からのPD-1,PD-L1の免疫組織染色について、条件設定に難渋しており、評価にまで至っていない。悪性黒色腫はFAKとの関連報告が多く認め、近年PD-1阻害剤により治療成績の向上を認めるが、その多くは皮膚原発の検討である。一方、粘膜悪性黒色腫の頻度は悪性黒色腫のうち0.8-3.7%と非常に稀で頭頸部原発がその半数を占めるとされる(Head Neck 2016; 38: 147-155)。主な治療は手術+術後放射線療法とされるが、まだ標準化には至っていない。局所再発、遠隔転移をきたしやすく、その5年無病生存率は20%未満と予後不良である。日光の暴露との関連はないとされていて(Melanoma Res 2011; 21: 475-482)、白人と比較し日本人において悪性黒色腫全体における割合が高いとされる。これらのことから日本人コホートにおける頭頸部原発粘膜悪性黒色腫が皮膚悪性黒色腫と同様のプロファイルなのか、知見の集積が必要である。そこで2010年に国立がん研究センター中央病院IRB承認以降、治療を受けた頭頸部原発粘膜悪性黒色腫症例の手術もしくは生検で得られたホルマリン包埋標本からGene RadTM DNA FFPE Kitを使用してDNAを抽出し、次世代シーケンサー(Illumina社、MiSeqTM)にて治療ターゲットとなりうるBRAF、K-RAS、H-RAS、N-RAS、c-Kit、PDGFR、GNAQ、GNA11遺伝子のホットスポットの変異解析を開始している。サンプルについては55検体からDNAを抽出するに至っている。
3: やや遅れている
下咽頭癌FFPE標本からのPD-1,PD-L1の免疫組織染色について、条件設定に難渋していて、本研究については当初の計画より遅れている。他方、頭頸部粘膜悪性黒色腫の検討については現状では順調であり、第43回日本頭頸部癌学会総会にて口演予定である。
頭頸部原発悪性黒色腫の変異検索については年間5例程度の上乗せは可能であり、変異検索の上英文誌投稿の予定である。また、可能であればPD-1の発現および、mutation burdenについても検索できればと考えている。
2010年に国立がん研究センター中央病院IRB承認以降、当院で治療を受けた頭頸部原発粘膜悪性黒色腫症例の手術もしくは生検で得られたホルマリン包埋標本からGene RadTM DNA FFPE Kitを使用してDNAを抽出し、次世代シーケンサー(Illumina社、MiSeqTM)にて治療ターゲットとなりうるBRAF、K-RAS、H-RAS、N-RAS、c-Kit、PDGFR、GNAQ、GNA11遺伝子のホットスポットの変異解析を行う。現在順次変異解析中である。主に試薬購入に際し、助成金を使用する予定である。
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Annals of Surgical Oncology
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https://doi.org/10.1245/s10434-019-07287-x
頭頸部癌
巻: 44 ページ: 365-369
https://doi.org/10.5981/jjhnc.44.365