研究課題
喉頭気管粘膜の傷害および修復機構についての研究を継続している。当大学動物実験施設の移設工事は最終的に2023年3月に完了することとなった。そのため、上気道の感染およびその防御に関する研究、頭頸部・上気道悪性腫瘍を中心とする臨床的研究を中心として行った。咽頭癌による喉頭切除は発声・嚥下・呼吸の機能低下に直結する。一方、咽頭癌を経口的に切除する際、その切除範囲を規定することは内視鏡の各種フィルタリング機能やルゴール染色を併用しているが容易ではない。そこで、腫瘍進展範囲を全身麻酔下の術中に超音波内視鏡を用いて測定する手法について消化器内科との共同研究を行った。食道では有用性は乏しいとされるが、咽頭癌においてはその臨床応用の可能性が示された。また、悪性度の幅が大きく、切除以外の確立した治療法が乏しい、唾液腺粘表皮癌の予後予測因子について、病理組織標本中のPCP(Purkinje cell protein)4/PEP(peptide)19およびHER(Human epidermal growth factor receptor)2の発現測定が有用であることを口腔顎顔面外科とともに証明した。上気道機能障害を生じる感染症については、扁平上皮細胞への感染について白色ブドウ球菌の接着ならびに細胞侵入機転におけるホスホリルコリンの関与について検討した。また、これら上気道の感染防御のため、含嗽による上気道への細菌接着・感染について検討を行った。その他、上気道に影響を与える感染症、悪性腫瘍に関する症例報告、下咽頭癌症例のFDG-PET結果に対する機械学習の有用性に関する検討を行った。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Molecular Imaging and Biology
巻: 25(2) ページ: 303-313
10.1007/s11307-022-01757-7
Auris Nasus Larynx
巻: 49(3) ページ: 495-503
10.1016/j.anl.2021.11.003.
Microorganisms
巻: 10(3) ページ: 527
10.3390/microorganisms10030527
日本耳鼻咽喉科学会会報
巻: 125 ページ: 279-284