研究実績の概要 |
循環腫瘍細胞(Circulating tumor cell: CTC)は血中内に流れる腫瘍細胞で、その存在が治療効果や予後を反映するともいわれている。今回はCTCの変化という いわばミクロな変化とPET画像というマクロな変化に相関がありかどうか、また予後との関連があるかを検討している。2022年度は5例の新規症例を登録でき、治療前のCTCデータ、FDG PETデータ、血液データの収集が可能であった。FLT PETに関しては放射線診断科のPETトレーサー作成の方針から4DSTの新規作成が終了しており、追加の検討ができなかった。全体で22症例の蓄積となり、登録可能と考えていた28例には及ばなかった。 2021年度までの17例での検討では9例で再発転移を認めた。6例で局所再発、3例で遠隔転移を認め、遠隔転移の3例では治療後のCTC数、cfDNAの値がいずれも上昇を認めた。局所再発、遠隔 転移例ともtype2 CTCの増加傾向を認めた。 2022年度の5例は治療後のCTCが提出できた症例が2例にとどまり、前後の変化を検討できる症例数が減少したが、再発のない群(11例)と再発・転移あり群(11例)では治療前のCTC数で有意に再発なし群で少なかった。治療後のCTC数は再発なし群で少ない傾向ではあったが有意差は認めなかった。CTCtype2細胞に限ると再発なし群で有意に少ない結果であった。PETのパラメータで見ると、SUVmax, MTV, TLGなど様々なパラメータで検討したが、今回の症例では再発あり、なしの間で有意な差を認めたパラメータはなかった。この結果から、頭頸部癌においてはマクロな画像から得られるパラメータと末梢血から得られるミクロなパラメータの間には有意な相関があるとはいえない結果であった。
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