研究課題
Rho kinase inhibitorであるY27632はcondition reprogramming cultureにおいて重要な因子であり、呼吸上皮においてもp63陽性細胞のairway progenitor clone formationを亢進すると考えられている。上気道における役割を解明するため、hTERTを遺伝子導入した正常ヒト鼻粘膜上皮細胞に対しY27632を処置した。結果、p63、ギャップ結合分子(Cx26、Cx30、Cx43)、cytochrome p450 enzymeであるCYP2C9、CYP2C18、CYP39A1、CYP4B1、CYP2G1P、CYP4Z1、KLF familyであるKLF10、KLF11の発現亢進が認められた。タイト結合分子(claudin4、claudin7、claudin23)の発現は低下していた。ギャップ結合およびタイト結合の機能はupregulateしていた。p63をknockdownすると、Cx26、Cx43、CYP2C18は発現低下、claudin1、claudin4は発現増加していた。KLF11のknockdownでは、Y27632処置によるp63発現増加は抑制された。アレルギー性鼻炎患者における鼻粘膜上皮細胞では、p63、KLF11、RhoA、Cx30、claudin4の局在変化が見られた。Rho kinase inhibitor Y27632処置したヒト鼻粘膜上皮細胞、アレルギー性鼻炎を含む上気道炎症性疾患の病態解明モデルとして有用であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
令和元年度に実施する実験においては,ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた.
我々が確立した正常ヒト鼻粘膜上皮細胞および前駆細胞を用いて、感染、炎症、組織損傷など多くの刺激を受けて産生されるHMGB1をターゲットとした呼吸器ウイルス感染およびアレルギー性鼻炎の新規治療薬を開発する。さらに血清中および鼻汁中のHMGB1を測定し、新規のバイオマーカーとしての可能性も検討する。
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Am J Transl Res
巻: 11 ページ: 599, 611