研究課題/領域番号 |
18K09352
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 元彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (50326138)
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研究分担者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00305525)
尾崎 慎哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70646455)
中村 善久 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90360023)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / siRNA / B細胞 |
研究実績の概要 |
RNA干渉は二本鎖RNAと相補的な塩基配列をもつmRNAが分解される現象で、siRNA (smallinterfering RNA)という21-23bp塩基対の短い合成二本鎖RNAによって惹起される。また、近年制御性樹状細胞や制御性T細胞のみならず免疫反応を抑制するB細胞(制御性B細胞)の存在が発見され注目されている。アレルギー反応はIgEを介して出現するが、B細胞はIgEを産生する細胞であり、アレルギー反応において大変重要な役割を果たしている。以上を踏まえ、本研究において、私たちはsiRNAを導入することによりB細胞の修飾が可能かどうか、また制御性B細胞の誘導が可能かどうかについて研究してきた。そして、B細胞にCD40に対するsiRNA(CD40 siRNA)を導入することによって、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞の作製に成功した。さらに、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞の作用をIn vitroにおいて評価した。具体的には、マウスにOVA抗原を感作させて、抗原感作T細胞を脾臓より採取した。そして採取した抗原感作CD4+CD25-T細胞とCD40siRNA導入B細胞を反応させて、産生されるサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-10)をELISAにて測定した。その結果、CD40siRNA導入B細胞はIL-4、IL-5産生を抑制し、IL-10産生を増強していた。また、T細胞反応を[3H]thymidineの取り込みによっても評価したが、CD40siRNA導入B細胞は[3H]thymidineの取り込みを有意に抑制していた。以上より、CD40siRNA導入B細胞が制御性B細胞である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CD40siRNA導入B細胞がアレルギー反応を抑制することを証明できたから。具体的には、CD40siRNA導入B細胞がアレルギー反応を誘導するTh2サイトカイン(IL-4、IL-5)産生を抑制し、制御性サイトカインであるIL-10産生を増強することを証明できた。また、T細胞反応も[3H]thymidineの取り込みによって評価したが、CD40siRNA導入B細胞が[3H]thymidineの取り込み有意に抑制し、T細胞反応を抑制することも証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
CD40siRNA導入B細胞T細胞によるT細胞の変化について調べる。特に、Real-time PCRにてFoxp3遺伝子の発現変化を調べたり、FACSにてCD4+CD25+T細胞の陽性率の変化を調べたりして、制御性T細胞誘導能について調べる。次に、アレルギー性鼻炎モデルマウスに直接CD40siRNA導入B細胞T細胞を投与して、その効果を判定する。くしゃみや鼻掻き回数をカウントしてアレルギー性鼻炎症状の変化を評価する。また、鼻粘膜好酸球数、血中IgE、脾臓T細胞産生サイトカインなども測定してアレルギー反応への影響について調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
B細胞やT細胞が健康な状態でなく、施行できなかった研究があるため。また、施行できなかった研究については次年度に施行することを予定している。
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