研究課題
RNA干渉は二本鎖RNAと相補的な塩基配列をもつmRNAが分解される現象で、siRNA(smallinterfering RNA)という21-23bp塩基対の短い合成二本鎖RNAによって惹起される。また、近年制御性樹状細胞や制御性T細胞のみならず免疫反応を抑制するB細胞(制御性B細胞)の存在が発見され注目されている。アレルギー反応はIgEを介して出現するが、B細胞はIgEを産生する細胞であり、アレルギー反応において大変重要な役割を果たしている。以上を踏まえ、私たちはsiRNAを導入することによりB細胞の修飾が可能かどうか、また制御性B細胞の誘導が可能かどうかについて研究してきた。そして、B細胞にCD40に対するsiRNA(CD40 siRNA)を導入することによって、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞の作製に成功した。また、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞をアレルギー感作前のマウスに投与することによってくしゃみ症状、鼻描き症状、鼻粘膜の好酸球浸潤が有意に抑制されることを証明した。そして、私たちはOVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞によってくしゃみ症状、鼻描き症状、鼻粘膜の好酸球浸潤が抑制される機序についても研究した。その結果、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞が血中スギ花粉特異的IgEを有意に抑制することが証明した。しかし、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞は他の抗原に対する特異的IgEを抑制しなかった。即ち、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞は抗原特異的にアレルギー反応を抑制していることが判明した。また脾臓よりリンパ球を採取し、スギ花粉刺激で分泌されるサイトカインを測定したところ、リンパ球からのIL-4・IL-5産生が有意に抑制されていた。従って、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞は抗原特異的IgEを抑制したり、IL-4・IL-5といったTh2サイトカインを抑制することによってアレルギー性鼻炎症状を抑制いていることが示された。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症のため、施行できなかった研究があるから
今後、OVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞によってくしゃみ症状、鼻描き症状、鼻粘膜の好酸球浸潤が抑制される機序をさらに深く解明する。具体的には、頸部リンパ節よりリンパ球を採取し、スギ花粉刺激で分泌されるサイトカイン産生の変化を調べる。また、抗原感作前にOVA抗原特異的CD40ノックダウンB細胞を投与するのでなく、抗原感作後に投与することによってアレルギー性鼻炎症状やアレルギー反応が抑制できるかどうかについても検討する。
新型コロナウイルス感染症のため
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Int Arch Allergy Immunol
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