研究課題/領域番号 |
18K09362
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 客員教授 (70196228)
|
研究分担者 |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 准教授 (20299514)
栗田 卓 久留米大学, 医学部, 助教 (20569355)
佐藤 公宣 久留米大学, 医学部, 助教 (30738852)
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 教授 (40203583)
佐藤 文彦 久留米大学, 医学部, 助教 (50770749)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 声帯 / 組織幹細胞 / 幹細胞ニッチ |
研究実績の概要 |
組織幹細胞の存在を証明する実験手技の一つであるラベル保持細胞法により、ラット声帯の組織幹細胞と幹細胞ニッチ動態の解明を行った。 1)ラット声帯黄斑内の細胞のみが長期間BrdUを保持していた。したがってラット声帯黄斑内の細胞は細胞分裂が非常に遅く、ラベル保持細胞であった。またラット声帯黄斑内の多くの細胞は、Ki67が陰性であることから細胞増殖が休止期の細胞であった。これらのことからラット声帯黄斑内の細胞は組織幹細胞である可能性が示唆された。2)ラット声帯黄斑内のBrdU陽性細胞率は44.8±14.2%(1日目)と33.3±12.7%(56日目)であり、ラット声帯黄斑内にはBrdU陽性細胞と陰性細胞が混在していた。したがってラット声帯黄斑には分裂が遅い幹細胞だけではなく、通常の分裂速度の細胞群が存在し、組織幹細胞の階層性が存在する可能性が示唆された。3)ラット声帯黄斑の細胞間質にはヒアルロン酸が豊富に存在し、ラット声帯黄斑のラベル保持細胞はヒアルロン酸受容体であるCD44を発現していた。ラット声帯黄斑はヒアルロン酸リッチマトリックスであり、幹細胞ニッチである可能性が示唆された。4)ラット声帯黄斑内の細胞には、Cytokeratin、GFAPを保持した中間系フィラメントを認めることから外胚葉由来の、Desmin、Vimentinを保持した中間系フィラメントを認めることから中胚葉由来の、内胚葉マーカーであるSOX17が陽性であることから内胚葉由来の細胞であることが分かった。このことから声帯黄斑内の細胞は三胚葉への分化が可能であり、胚葉を越えた分化が可能な細胞である可能性が示唆された。5)ラット声帯黄斑内の細胞にはCD34、CD45、collagen type Iが発現しており、骨髄由来のcirculating fibrocytesに関連した細胞である可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究計画にしたがって研究が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに研究計画にしたがって、声帯粘膜の組織幹細胞システムと幹細胞ニッチの研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費(試薬)が当初の予定より安価であったため、残額が生じた。 次年度に物品(試薬)の購入費用にあてる予定である。
|