研究課題/領域番号 |
18K09366
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊地 俊晶 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20509418)
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研究分担者 |
濱西 伸治 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (00374968)
香取 幸夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20261620)
池田 怜吉 東北大学, 大学病院, 助教 (30645742)
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 耳管 / 音声 / 耳管開放症 |
研究実績の概要 |
2019年度は耳管開放症症例(耳管開放症診断基準案2016にもとづく耳管開放症確実例並びに耳管開放症疑い例)並びに、コントロールである耳管機能正常症例での実際の測定を行った。測定は前年度で新たに作成を行った新規自声測定装置を用いて行った。 まず、測定装置の妥当性について検討を行った。自声の大きさの程度による測定結果のばらつきは少なく、また、測定に用いる耳栓の改良により、安定的に測定を行うことが可能になった。 自声の程度は、コントロール(耳管機能正常例)と比較し、耳管開放症確実例において有意に高い結果が得られた。また、統計学的検討により、外耳道音圧と口唇部の音圧との比率がおおそよ20倍が陽性所見となりうる、いわゆる適切なカットオフ値の設定を行うことが出来た。それに対して、自声の測定結果と自覚的重症度(Patulous Eustachian tube Inventry-10:PHI-10)並びに、音響法の提示音圧との有意な相関関係は認められなかった。また、自覚症状を認められながら、これまでの他覚的所見(耳管機能検査:音響法(sonotubometry)、耳管-鼓室気流動態法(tubotympanoaerodynamography、TTAG法)、顕微鏡または内視鏡による鼓膜呼吸性動揺の存在)では陽性とならなかった耳管開放症疑い例において、自声では陽性となる症例が散見された。 これらの結果は、発声時において、これまでの検査所見では把握しえなかった耳管の開放が顕著になる症例が存在することを示唆しており、新たな耳管動態の存在を示すと考えられる所見であった。すでにこれまでの結果を元にして英語論文を作成している最中であり、共同研究者とディスカッションを重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した通り、2019年度までの研究で自声による新たな耳管機能検査によって、これまで知りえなかった新たな耳管動態の解明に寄与する可能性が示唆されており、本研究課題の進歩状況としてはおおむね順調に進展していると考えられた。すでにこれまでの結果を元にして英語論文を作成しており、共同研究者とディスカッションを重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の結果を踏まえて、さらに症例数を増やす予定である。2020年度は耳管開放症症例50例、耳管機能正常例50例を目標とする。 また、2019年度では解明しえなかった自声測定による耳管開放の詳細なメカニズムを解明するために、耳管モデルを用いた音声解析などを行う予定である。 また、耳管経由のノイズ検出による耳管機能検査装置の検討について、Noiseの閾値設定が最も重要であると考えられる。そこで、従来の耳管機能検査での結果、鼓膜所見、オトスコープ所見、耳管CTでの耳管の状態などを参考に、noiseの閾値設定を行う。また、本研究の目的のひとつである、経時的なノイズ検出を行い、耳管機能障害患者での耳管機能の日内変動を観察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品が当初予定より、少数で済んだため。
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