研究課題/領域番号 |
18K09370
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10359606)
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研究分担者 |
吉川 弥生 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (00452350)
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20451809)
藤本 千里 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (60581882)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蝸牛 / 内耳障害 / アポトーシス / ネクローシス / ネクロプトーシス |
研究実績の概要 |
生後3日の幼若マウスより摘出した蝸牛の器官培養を用いて、ゲンタマイシンを様々な濃度で投与することで、有毛細胞障害を引き起こし、免疫染色を用いて、アポトーシスとネクローシスおよびネクロプトーシスの誘導についての解析を行った。 第一段階として、Propidium iodide (PI)の核染色を、myosin7aによる有毛細胞染色と、DAPIによる核染色とともに行い、様々な濃度のゲンタマイシンを投与し、アポトーシスとネクローシスについての全体的な評価を行った。 ゲンタマイシンによる有毛細胞障害は、ゲンタマイシンの濃度および時間依存的に変化し、0.3-1mMの濃度で24時間以上培養を行うことで、統計学的に有意な有毛細胞障害が、外有毛細胞および内有毛細胞ともに認められた。 PIによる核染色では、内有毛細胞では、障害の6時間後にはネクローシスを示唆する核の膨化を認め、24時間後にはアポトーシスを示唆する核の濃縮を認めた。外有毛細胞でも、障害の12時間後では、核の膨化が優位で、24時間後では核の濃縮が主に認められ、内有毛細胞と同様の傾向を認めた。 引き続き、ネクロプトーシスのマーカーである、RIP1, RIP3, MLKLの免疫染色については、染色がうまくいかないため、ポジティブコントロールである、肝臓、および腎臓を用いて、条件について現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼若マウスからの蝸牛摘出および器官培養、ゲンタマイシンによる有毛細胞障害の評価系については、順調に行われている。また、PIの核染色によるアポトーシスとネクローシスの評価系についても、順調に行われており、ゲンタマイシンの濃度および障害後の時間経過に伴って、アポトーシスとネクローシスの割合が変化するという興味深い結果が得られている。ネクロプトーシスのマーカーの免疫染色については、現在、肝臓や腎臓などを用いたポジティブコントロールを用いて、染色条件について、検討を行っている段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
ネクロプトーシスのマーカーである、RIP1, RIP3, MLKLの免疫染色については、ポジティブコントロールである、肝臓および腎臓で染色のみられる条件は既に見つかっている。 今後は、ゲンタマイシンによる内耳障害における、ネクロプトーシスの関与についての解析を行うとともに、アポトーシス阻害薬であるZVADとネクロプトーシス阻害薬であるnecrostatin-1(Nec-1)の有毛細胞保護効果について検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ネクロプトーシスのマーカーである、RIP1, RIP3, MLKLの免疫染色が予定通り進まず、条件を探すのに時間を要したことから、アポトーシス阻害薬であるZVADとネクロプトーシス阻害薬であるnecrostatin-1(Nec-1)の有毛細胞保護効果についての検討にまで至らなかったため。
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