研究実績の概要 |
生後3日の幼弱マウスより摘出した、蝸牛の器官培養を用いて、耳毒性物質ゲンタマイシン(GM)によって誘導される有毛細胞障害について、アポトーシス、ネクローシス、ネクロプトーシスの関与について解析を行った。 0.3~1 mMのGMを投与し、6~12時間培養し、Propidium iodide (PI)による核染色とmyosin 7Aによる有毛細胞染色、DAPIによる核染色を行い、有毛細胞障害について検討を行った。 GMによる有毛細胞障害は、濃度および時間依存的に変化した。0.6 mM GM下において、PIによる核染色では、12時間の培養では、核が空砲化するネクローシスと、核が濃縮するアポトーシスが混在したが、24時間培養では、アポトーシスが優位であった。 また、障害された有毛細胞は、RIP1, RIP2およびcaspase-8, caspase-9での染色がみられ、ネクロプトーシス、アポトーシスいずれの障害経路も関与することを示唆する所見であった。 アポトーシスの阻害薬であるZVADの投与によって、GMによる障害が部分的に阻害されるとともに、caspase-8, caspase-9の染色も減少した。また、ネクロプトーシスの阻害薬であるNec-1によっても、GMを投与したところ、有毛細胞障害の障害が部分的に阻害された。これらの結果は、GMによる内耳障害には、アポトーシスとともにネクロプトーシスの双方が関与していることを示唆するものである。
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