研究課題/領域番号 |
18K09371
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀井 新 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30294060)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性めまい / 診断 / 問診票 / 持続性知覚性姿勢誘発めまい |
研究実績の概要 |
持続性知覚性姿勢誘発めまい(persistent postural perceptual dizziness:以下PPPD)は2017年にBarany学会より診断基準が提案された慢性めまい疾患で、立位や体動、視覚刺激で増悪するという特徴を持つ (Staab et al. JVR 2017)。本疾患に特異的な前庭機能検査所見はなく、その診断は問診によるところが大きい。本研究では、PPPD診断のための問診票を新たに作成し、その信頼性・妥当性を検証した。 2018年1月から5月の5か月間に当科外来を受診したPPPD患者50名及びコントロールとしてそれ以外のめまい患者50名を対象とした。年齢は20歳から82歳、平均年齢は53.4歳で、男性31名、女性69名であった。PPPD問診票は、症状の増悪因子である立位・体動・視覚刺激に関連した質問各4問ずつ計12問から成り、1問あたり0から6点の7段階評価、計72点満点とした。自覚症状の重症度はVASにより評価した。 問診票の信頼性は内部一貫法を用いて評価した。総合・立位・体動・視覚刺激の各項目のCronbachのα係数は0.91・0.88・0.75・0.83と高値であり、高い信頼性が証明された。PPPD群では、総合・立位・体動・視覚刺激の全ての問診項目でコントロール群に比べ有意に高値であった。これらの違いが疾患の重症度に起因する可能性も考えられたが、VASでは2群間で有意差を認めなかった。以上から問診票の妥当性が証明された。PPPD診断において総合点によるROC曲線を作成すると、72点満点中27点をカットオフ値とするとAUCが最も広く、PPPD診断の感度70%、特異度68%であった。以上から、本問診票はPPPD診断に有用なツールであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で持続性知覚性姿勢誘発めまい診断のための問診票の作成、その信頼性と妥当性の評価を終了し、英文論文として受理されておりおおむね順調な進捗状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で作成した問診票をもとに、持続性知覚性姿勢誘発めまいにサブグループが存在するのか、サブグループにおける臨床的特徴があるのか、発症における脳内メカニズムに関する研究などを推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度物品費で購入する予定の機材を用いた実験の進捗が、共同研究の進捗遅れのため停滞していた。次年度には開始し、当該費用として使用する予定である。
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備考 |
本研究で作成したPPPD診断のための問診票を公開している
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