研究課題/領域番号 |
18K09374
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩崎 聡 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00232653)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 言語習得前失聴 / 先天性 / 人工内耳 / 思春期 / 語音聴取 |
研究実績の概要 |
研究課題の原因診断に基づく人工聴覚器の使い分け指針の確立に関する研究で、本年度は先天性高度難聴で思春期以降に人工内耳手術を受けた症例の結果を解析し、適応になるのかを検討した。先天性もしくは言語習得前の両側高度・重度難聴で思春期以降に人工内耳手術を受けた場合には、その効果は限定的であり、適応に関しては検討課題となっていた。しかし先天性もしくは言語習得前の両側高度・重度難聴で思春期以降に人工内耳手術を受けた者の中にも、良好な語音聴取成績を得た報告がみられるようになってきた。本年度は当院にて先天性もしくは言語習得前難聴で思春期以降に人工内耳手術を施行した症例の術後語音聴取能が改善するか否かを明らかにすることを目的とし、言語習得後難聴の術後成績と比較検討を行った。 2012年4月から2019年3月までに、国際医療福祉大学病院三田病院耳鼻咽喉科にて施行した先天性または言語習得前難聴者の思春期以降に人工内耳手術を受けた28症例の術前、術後6ヶ月、術後1年の最高語音明瞭度、単語聴取能について後方視的に調査し, 人工内耳手術の有効性を検討した。術前と比較し術後語音聴取能, 単語聴取能は有意に改善を認めた。また術前の裸耳平均聴力と人工内耳装用下の最高語音明瞭度は相関を認めた。適切な患者の選択と術後のリハビリテーションにより先天性または言語習得前の両側高度・重度難聴で、思春期以降に人工内耳手術を受けた場合でも有効性は高いことが示唆された。また先行研究では術後語音聴取成績に影響する因子について療育方法に注目し、聴覚口話群とトータルコミュニケーション群で比較検討を行い、聴覚口話群の方が有意に術後語音聴取成績が改善したと報告している。今後、長期フォローにおける術後成績を調査するとともに、療育方法にも着目し、術後成績に影響する因子を検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は残存聴力活用型人工内耳に関する原因診断を難聴遺伝子検査結果から検討し、2年目(2019年度)は原因診断が先天性難聴で、さらに思春期以降の人工内耳手術の選択方法に関する基礎データをまとめることができた。 また、人工中耳に関しても中耳疾患と外耳道閉鎖症など難聴原因別の適応と術式に関してもまとめることができた。 最終年度はすべての人工聴覚器手術を受けた方の難聴遺伝子検査結果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度はすべての人工聴覚器手術を受けた方の難聴遺伝子検査結果を解析する予定である。 さらに3年間の研究成果を報告書としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を様々な印刷物として最終年度は作成するために、次年度に繰り越した。最終年度開始早々成果のパンフレット作成費の依頼を行っている。
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