研究課題/領域番号 |
18K09375
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
齋藤 正一郎 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60325371)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プロサポシン / GPR37 / GPR37L1 / 蝸牛 / 神経栄養因子 |
研究実績の概要 |
約520アミノ酸残基からなるタンパク質プロサポシンは,細胞質内ではリソソーム内における糖脂質分解の補酵素として機能しているほか,細胞外液中にも豊富に存在し,神経栄養因子として機能していることが明らかとなっている。聴覚系において,プロサポシンの先天性異常は蝸牛の形態異常を伴う著しい難聴を引き起こす。一方,神経栄養因子プロサポシンに対する受容体であるGPR37ならびにGPR37L1の同定は最近であるため,蝸牛におけるそれらの発現性は未だ検討がなされていない。そのため、蝸牛の恒常性維持に対するプロサポシンの機能的役割が不明である。 本年度は、マウスの蝸牛におけるGPR37およびGPR37L1の局在について、免疫組織化学的手法により明らかにした。マウスの蝸牛のパラフィン切片を作製し、抗原賦活化処理を施した後、抗GPR37抗体および抗GPR37L1抗体を用いて、これら受容体を発現する細胞を検索した。結果、内有毛細胞、内・外柱細胞および外指節細胞がこれら受容体を発現している事が明らかとなった。これら抗体と、内有毛細胞および外指節細胞に選択的に発現していることが明らかとなっているカルレチニンに対する抗体を用いた蛍光多重染色においても、GPR37、GPR37L1およびカルレチニンの共在性が明らかとなった。本結果により、プロサポシンは内有毛細胞に直接作用しているのみならず、外指節細胞を経て外有毛細胞に間接的に影響を与えている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病態におけるプロサポシンならびにそのレセプターの役割の解明に向けて,まず正常時におけるこれら分子の発現性を明らかにしなくてはならないが,現時点では正常時のこれら分子の発現性について順調に結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り,まず正常時における分子発現をin situ hybridizationならびに免疫組織化学的染色で明らかにする。次に病態モデルを作製し,分子発現の変化について明らかにする。
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