研究課題/領域番号 |
18K09376
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺西 正明 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20335037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内耳性難聴 |
研究実績の概要 |
これまで内耳疾患では画像上異常がないといわれてきたが、3Tの内耳MRI(Gd静脈注射後、3D-FLAIR)により、血液迷路関門の破綻症例が臨床的に捉えられるようになり、突発性難聴症例ではMRIにより約三分の一に内耳血管透過性が亢進することがわかり、さらにGd通常量静注4時間後撮影のMRIにて内リンパ水腫の検索が可能となり、内耳疾患の病態の解明に画像からのアプローチが可能となった。内耳性難聴は耳鳴や難聴の原因となり、病態は不明の点が多い。本研究では、臨床的研究として内耳性難聴や耳鳴のある症例での遺伝子多型を評価し、内耳MRI画像(Gd造影後の3D-FLAIRや内リンパ水腫画像)から血液迷路関門破綻(内耳血管透過性亢進)や内リンパ水腫の所見と比較し、予後を検討するとともに、遺伝子型多型からも病態を分類し個別化医療をめざし、より有効な治療方法を確立するものである。突発性難聴およびメニエール病は、遺伝要因、環境要因を含めた多因子疾患であると考えられるが、遺伝子多型の関与も検討する。内耳性難聴の遺伝子多型の研究は欧米の報告もあるが、人種による差異もあり、本邦独自で研究を進める必要がある。これまでに、uncoupling protein 2の遺伝子多型が突発性難聴のリスクになることがわかり、uncoupling protein 1, 2およびprotein kinase C-etaの遺伝子多型が耳鳴のリスクになることがわかった。さらに臨床症例を現在集積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例集積がまだ十分でなく、次年度に血液サンプルをまとめて評価をおこなう必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
内耳性難聴や耳鳴の病態を炎症や酸化ストレスの観点から分類し、予後や予防法、有効な治療を個別に構築することが可能であるかを検討する。内耳性難聴や耳鳴の症例について、遺伝子多型を評価するとともに、オージオグラムのパターンや聴力予後を検討し有効な予防方法、治療方法を検討する。研究の結果を、遅滞なく国内および国外学会に報告するとともに、国際誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床症例集積に時間を要し、血液サンプルの評価を、まとめて行うため、本年度は施行できず、次年度以降に血液サンプルの解析を行い、データをまとめ、論文作成および投稿を行う。
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