研究課題
内耳性難聴は難聴や耳鳴の原因となる。またその病態は不明の点が多く、治療法もいまだ確立されていない。これまで内耳疾患では画像上異常がないといわれてきたが、3Tの内耳MRI(Gd静脈注射後、3D-FLAIR)により、血液迷路関門の破綻症例が臨床的に捉えられるようになり、さらにGd通常量静注4時間後撮影のMRIにて内リンパ水腫の検索が可能となり、内耳疾患の病態の解明に画像からのアプローチが可能となった。本研究では、臨床的研究として内耳性難聴や耳鳴のある症例での酸化ストレスや炎症性サイトカイン、遺伝子多型を評価し、内耳MRI画像(Gd造影後の3D-FLAIRや内リンパ水腫画像)から血液迷路関門破綻(内耳血管透過性亢進)や内リンパ水腫の所見と比較し予後を検討するとともに、病態を分類し個別化医療をめざし、より有効な治療方法を確立するものである。突発性難聴およびメニエール病は、遺伝要因、環境要因を含めた多因子疾患であると考えられるため、遺伝子多型の関与も検討した。耳鳴のリスクにuncoupling protein 1, 2 およびprotein kinase C-eta の遺伝子多型が関連することがわかった。platelet glycoprotein Ia(rs1126643)多型は、メニエール病のリスクとなることがわかった。遺伝子多型と臨床所見との関連を検討するため、メニエール病症例でGd静脈注射4時間後のMRIを撮影し、内リンパ水腫の程度を、なし、軽度水腫、著明水腫と三段階にスコア化し、platelet glycoprotein Ia多型の遺伝子型別に内リンパ水腫の程度と比較したが、患側耳の蝸牛、前庭とも、CC, CT, TT三群の間で有意差は認めず、内リンパ水腫の程度とは関連なかった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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