研究課題/領域番号 |
18K09377
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
勝野 達也 京都大学, 医学研究科, 研究員 (90527665)
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研究分担者 |
北尻 真一郎 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (00532970)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 難聴 / 有毛細胞 / 形態異常 / 細胞間接着 |
研究実績の概要 |
内耳有毛細胞の変性は難聴の原因の1つであり、有毛細胞変性メカニズムを解明することは、有毛細胞変性抑制のための手がかりとなる。 本研究では、細胞骨格と細胞接着に関与するタンパク質に注目して、治療への応用を目指した難聴の予防・治療に関連する知見を蓄積することを目的としている。 2年目にあたる昨年度においては、初年度に引き続き、有毛細胞変性を伴う難聴の表現系を持つ遺伝子改変マウスの解析を進めた。主に細胞の微細構造の形態に注目して、免疫染色や連続電子顕微鏡像などによって機能的、形態的の両面から解析を行い、細胞内部におけるいくつかの形態異常を確認した。その異常の詳細を解析するためにFIB-SEMによる連続電子顕微鏡像データによる3D解析を進め、細胞骨格系に関わるタンパク質(Triobp)の変異マウスの解析では、TRIOBPタンパク質の欠損によって有毛細胞のに存在する感覚毛の「根(rootlet)」の形状に異常を引き起こすこと、また、この遺伝子のコードするタンパク質がアイソフォーム毎にrootletの異なる部分に局在し、これまで一様な構造と考えられていたrootletに性質の異なるdomainが存在することを明らかにするなど詳細を明らかにし、細胞内微細構造(rootlet)と聴覚機能の関係について更なる知見を得て、その結果を論文にまとめた(JCI Insight. 2019 Jun 20;4(12)) 一方、細胞接着に関する遺伝子変異マウスの解析は、サンプルリング用のマウスの増殖を待って、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞骨格に関与する遺伝子に変異を生じさせた難聴モデルマウスの解析を進め、得られた結果をまとめ論文を投稿したが、変性した細胞の微細構造を解析するために使用している電子顕微鏡(Zeiss CrossBeam 540 :FIB-SEM)に不具合が頻発し、細胞内構造の微細形態の解析に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、電子顕微鏡メーカーのメンテナンスによって、順調に稼働しているため、調製していた電子顕微鏡サンプルの解析を順次進めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の微細構造を解析するために使用している電子顕微鏡(Zeiss CrossBeam 540 :FIB-SEM)に不具合が頻発し、細胞内構造の微細形態の解析に遅れが生じ、その使用料を繰り越した。現在、電子顕微鏡メーカーのメンテナンスによって、順調に稼働しているため、繰り越し分も使い、調製していた電子顕微鏡サンプルの解析を順次進める。
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