研究課題
小児期に最も発達を示す鼻咽腔粘膜関連リンパ組織(NALT)の構成成分であるヒト咽頭扁桃組織を用いて,ヒトNALTの機能解析を行うことを目的とした。初年度は1) ヒト咽頭扁桃組織、鼻腔洗浄液などを使用するために院内倫理委員会において本研究計画実施に関する倫理審査を受け、2) ヒト小児咽頭扁桃上皮細胞における検討の前に正常気道上皮細胞(NHBE)を購入し、NHBEによる単層培養および気液界面細胞培養系(Air-Liquid Interface: ALI)による気道上皮細胞の機能に関する予備検討を行なった。具体的には、RSウイルスやライのウイルスなどの呼吸器感染性ウイルス感染によるサイトカイン産生能力の誘導とサイトカイン産生誘導の阻害効果を持つ薬剤の気道上皮細胞における作用点の解析を行い、気道上皮細胞の果たす自然免疫の機能解析を行った。さらに3) フローサイトメトリ によるcell sortingを行うための細胞接着剥離に関する予備検討をNHBEを用いて行い、接着細胞剥離に使用できかつ細胞表面抗原の活性や発現を損なわない条件・薬剤を各種検討した。NHBEと咽頭扁桃上皮細胞の反応性に大きな違いがないかをウイルス感染に伴うサイトカイン産生能力や細胞間の接着を担うタイト結合タンパク質の局在を免疫染色で比較解析を試みNHBEと咽頭扁桃上皮細胞に大きな違いがないことを確認した。また粘膜免疫に関する知識を深めるためにThe 3rd international conference on innate lymphoid cell (2018年11月29日から12月1日、東京)に参加、鼻腔から得られた組織における2型自然リンパ球に関する研究結果をまとめposter 発表を行った。
3: やや遅れている
初代培養の確立の条件検討に時間がかかった。また接着細胞のフローサイトメトリ を行うにあたっての細胞剥離の条件検討に時間がかかりまたsotingの条件設定に時間を要しているため。
培養上皮細胞を無処置群,抗原としてOvalbumin(OVA)と蛍光色素を結合させた蛋白と20分間培養させた群,さらに消化管粘膜で成熟M細胞を誘導するサイトカインを24時間前に処置しM細胞の誘導を行ったのちにOVA-蛍光色素と20分間培養を行う群の3群にわける.洗浄後細胞を回収,3群について上皮系マーカーであるCD326抗体および血球系細胞マーカーであるCD45抗体で染色を行い,細胞膜を透過処理する.その後CD326陽性,CD45陰性,蛍光色素陽性および陰性細胞をcell sortingにて回収しtotal RNAを回収しRNA sequenceを行う.
上皮細胞の条件検討に時間がかかったため、RNAsequenceが未施行であり、そのための予算を次年度使用額とした。
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