• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

成熟内耳を標的としたGJB2変異型難聴への遺伝子治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K09387
研究機関順天堂大学

研究代表者

飯塚 崇  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (40372932)

研究分担者 神谷 和作  順天堂大学, 医学部, 准教授 (10374159)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード遺伝性難聴
研究実績の概要

遺伝性難聴は1600出生に一人と高頻度に発生するが、その根本的治療法はなく次世代の治療法開発が期待されている。遺伝性難聴の原因遺伝子として世界中で圧倒的に検出頻度が高いのがギャップ結合タンパク質Connexin (CX) 26をコードするGJB2遺伝子である。CX26は蝸牛ギャップ結合の主要構成要素として蝸牛リンパ液のイオン組成を高電位に維持することで音の振動から神経活動への変換を可能としている。
申請者はアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターを用いたCX26欠損マウス内耳への遺伝子治療実験により、CX26欠損マウスにおける高度難聴を優位に回復させることに初めて成功した。しかし、この実験において聴力回復に成功したマウスは生後0日齢であり、ヒトの内耳では胎生期に相当する。当時の方法による遺伝子治療法では成熟マウスの聴力回復には至らなかった。本研究ではベクター投与法を改良することによりヒト臨床応用への対象として現実的である成熟マウスでの聴力回復を実現させる新たな遺伝子導入法の開発を目指す。当該年度は従来型のAAV1-Gjb2との比較実験により感染能と感染指向性の解析をおこなった。生後4日齢のマウスから蝸牛を摘出し、蝸牛器官培養を行った。この培養系にて既存の血清型AAVでのin vitro感染を行った。これにより標的細胞への感染効率の良いベクターを選抜した。蝸牛器官培養での結果を元にAAVベクターの配列を比較し標的細胞であるCX26ギャップ結合形成細胞への効率の良いベクターが選抜された。このAAVベクターをマウス蝸牛に効率よく導入するための投与法の検討を行い5~10ulのウィルス液を効率よく外リンパ液へ導入する手技を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度より行われているコロナウィルスの感染状況による動物施設工事の遅れに伴い実験動物の繁殖に遅れが生じているため。

今後の研究の推進方策

遅れていた実験動物施設の工事が完了し、実験動物の手術設備、および聴力解析システムの再セッティングを行っている。これにより早期に実験動物の数を確保し遺伝子導入実験および聴力解析実験を施設工事前の状態に復帰させる。

次年度使用額が生じた理由

昨年度まで続いた施設工事により実験動物作製に遅れが生じ、予定していた対象マウスの繁殖が進まず、それに伴い消耗品の消費が少なくなった。施設工事が終了したため、今後は関連する消耗品の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Generation of two iPSC lines from siblings of a homozygous patient with hearing loss and a heterozygous carrier with normal hearing carrying p.G45E/Y136X mutation in GJB22021

    • 著者名/発表者名
      Fukunaga Ichiro、Oe Yoko、Danzaki Keiko、Ohta Sayaka、Chen Cheng、Iizumi Madoka、Shiga Takahiro、Matsuoka Rina、Anzai Takashi、Hibiya-Motegi Remi、Tajima Shori、Ikeda Katsuhisa、Akamatsu Wado、Kamiya Kazusaku
    • 雑誌名

      Stem Cell Research

      巻: 53 ページ: 102290~102290

    • DOI

      10.1016/j.scr.2021.102290

  • [雑誌論文] Generation of two induced pluripotent stem cell lines from PBMCs of siblings carrying c.235delC mutation in the GJB2 gene associated with sensorineural hearing loss2020

    • 著者名/発表者名
      Fukunaga Ichiro、Shirai Kyoko、Oe Yoko、Danzaki Keiko、Ohta Sayaka、Shiga Takahiro、Chen Cheng、Ikeda Katsuhisa、Akamatsu Wado、Kawano Atsushi、Kamiya Kazusaku
    • 雑誌名

      Stem Cell Research

      巻: 47 ページ: 101910~101910

    • DOI

      10.1016/j.scr.2020.101910

    • 査読あり
  • [学会発表] 遺伝性難聴への遺伝子治療ベクターおよび中分子医薬品の開発2020

    • 著者名/発表者名
      神谷和作
    • 学会等名
      第121回日本耳鼻咽喉科学会学術講演会・パネルディスカッション・AMED研究
  • [学会発表] 内耳ギャップ結合遺伝子の加齢性難聴への関与2020

    • 著者名/発表者名
      神谷 和作
    • 学会等名
      第30回 日本耳科学会総会・学術講演会テーマセッション
  • [図書] 実験医学別冊 決定版 ウイルスベクターによる遺伝子導入実験ガイド2020

    • 著者名/発表者名
      神谷和作
    • 総ページ数
      159-166
    • 出版者
      羊土社

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi