研究課題/領域番号 |
18K09391
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
竹腰 英樹 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10302738)
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研究分担者 |
南 修司郎 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (00399544)
加我 君孝 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 名誉臨床研究センター長 又はセンター長 (80082238)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | G-VEMP / Auditory Neuropathy / Vestibular Neuropathy / Synaptopathy / 人工内耳 |
研究実績の概要 |
Auditory Neuropathy (AN)症例を対象にVestibular Neuropathyが合併するか否かを解明するために前庭神経の電気刺激検査のGalvanic VEMP (G-VEMP)を中心に、三半規管の自然刺激検査である温度眼振検査、回転眼振検査、C-VEMPを記録し調べた。これまでの研究経過を以下にまとめる。 ANと診断した8名(男性2名、女性6名)の年齢は6歳3か月~77歳8か月(45.3±29.5歳)であった。ANの診断は語音明瞭度の重度低下があり、DPOAEは正常かつABRで105dBの強大音刺激で無反応であった症例とした。1例でOPA1遺伝子変異を認めたがOTOF遺伝子変異は全例で検出されなかった。視力障害は2症例で認めた。Galvanic VEMP(G-VEMP)を中心に、温度眼振検査、回転眼振検査、C-VEMPを記録し調べた。G-VEMPを含めた前庭半規管および前庭神経機能検査の結果より4つの病態に分類した。Type 1:末梢前庭器・前庭神経ともに正常(片側のみ1例)、Type 2:末梢前庭器・前庭神経ともに機能低下(両側4例、片側のみ1例)、Type 3:末梢前庭器の機能低下+前庭神経正常(両側2例、片側のみ1例)、Type 4:末梢前庭器正常+前庭神経機能低下(片側のみ1例)。両側Type2の機能低下を示した4例について、自発眼振は認めないが、うち2例ではJumbling現象もあり、4名全員でふらつきの自覚やふらつきの進行を自覚していた。以上よりANに伴う前庭半規管機能低下の病態は末梢前庭器の障害の有無と前庭神経節・前庭神経の有無の組み合わせによる4種類の異なる障害の存在 が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
G-VEMPは感覚細胞ではなく前庭神経そのものを刺激するため、ANにVestibular Neuropathyの合併の有無については鑑別診断を可能とするという仮説で研究に取り組んで来た。その結果は概要に述べたようにG-VEMPを記録したところ反応があるものとないものとが本年度の研究では半々であることがわかったのでおおむね順調に進展していると総括した。
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今後の研究の推進方策 |
ANの新患例を対象に、引き続きG-VEMPの記録を行い、ANにVestibular Neuropathyがどの程度合併するかを研究する。さらに以上の電気生理学的検査と神経症状である“ふらつき”や“動揺視”のJumblingが4つのうちのどのタイプに多く生じるか調べることで、前庭神経路の障害と症状の関係も明らかにできる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より検査関連の購入が少なかったためであるが、論文投稿に関する諸経費、検査関連の消耗品として引き続き使用予定である。
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