糖尿病網膜症は現在も先進国における主要な視力障害の原因である。これまでの研究は、網膜グリア細胞の遊走が重篤な病態の原因となる線維血管組織形成に関与することを示してきたが、その詳細は不明である。 アクロレインは高反応性の不飽和アルデヒドであり、様々な蛋白に結合することでその機能異常を惹起する。今回の研究では、アクロレインによる網膜グリア細胞遊走の制御機構について探索し、その結果として、1)アクロレインは高濃度では著明な細胞毒性を示すが、低濃度ではむしろ細胞生存率の増加や細胞遊走の亢進につながること、2)炎症性サイトカインCXCL1がアクロレインによるグリア細胞遊走を仲介していること、を示した。
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