眼科学領域において頻用される細隙灯顕微鏡や光干渉断層計は,眼組織に光を照射して,その吸収具合をもとに疾患を推定する装置である.しかしながら,組織における光の吸収具合と,異常な光の吸収をもたらす原因の間には大きな乖離があった. 我々はラマン顕微鏡を改良することにより,光の吸収具合だけではなく,その散乱光を解析することにより,異常な組織における脂質・タンパク質・核酸の局在をも明らかにすることができるようになった.今後の研究により,ラマン顕微鏡の有用性を活用する臨床応用機器が開発されることと思われる.本研究は世界に先駆けてラマン顕微鏡を眼科領域に応用する足がかりを得ることができたと確信する.
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