研究実績の概要 |
イリジウム錯体は有機エレクトロルミネセンス(Electroluminescence:EL)用発光素材として注目され、電気を通すと高効率でリン光を発する。さらにイリジウム錯体は通常の酸素分圧では発光せず、低酸素になると発光する性質を持つ。それに加えて低酸素化では定常状態と比べてりん光寿命が長くなる性質を持つ。連携研究者の飛田らとともに「ゲートICCDカメラを用いたりん光寿命計測に基づく2次元酸素濃度」を発表し、論文化することができた(Akiyama H , Takahashi I , Shimoda Y , Mukai R , Yoshihara T , Tobita S .Ir(iii) complex-based oxygen imaging of living cells and ocular fundus with a gated ICCD camera. Photochem Photobiol Sci. 2018 Jun 13;17(6):846-853.)。イリジウム錯体を添加した培養液中の細胞の一部にカバーガラスをかぶせるとその部位に一致して酸素分圧がさがり、りん光寿命が延びているのが確認できた。発光寿命はプローブの分布や励起光の不均一さに依存しないことを証明し、寿命分布は酸素分圧画像と相関していた。さらに動物実験において、前置レンズとゲートICCDカメラを用いて、イリジウム錯体を静注したウサギの視神経乳頭における発光強度画像やりん光寿命マップを撮影できたことも合わせて報告した。 ゲートICCDカメラをさらに進化させた共焦点蛍光・りん光寿命イメージング装置(Beckerand Hicki GmbH)を用いることにより脈絡毛細管板の酸素分圧を計測することについては、光学系の問題で眼底に焦点を合わせることが困難であった。
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