研究課題/領域番号 |
18K09406
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松下 賢治 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40437405)
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研究分担者 |
國吉 一樹 近畿大学, 医学部, 准教授 (30234470)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シナプトジェネシス / アストロサイト / 二光子顕微鏡 / 高眼圧マウスモデル / 接着分子 |
研究実績の概要 |
緑内障は眼圧上昇により視神経乳頭が変形し、視神経線維が周囲支持組織とともに物理的に障害され、網膜神経節細胞が視神経軸索輸送阻害によるアポトーシスを来し発症する。眼圧下降に反応しない緑内障に対して、神経保護的予防治療や網膜神経節細胞再生治療が期待されているが、近年、緑内障の高眼圧モデルマウスにおいて、網膜神経節細胞障害をきたす初期段階では、網膜神経節細胞が刺激伝達を受ける網膜内網状層 (IPL)において、OFF層がON層より先行して障害を受けることが指摘され、そのOFF層で網膜神経節細胞がdendriteを伸ばしシナプス再形成することから、網膜内リモデリングによる再生能の存在が示唆された。本研究では、緑内障モデルマウスを用いて網膜内層の新らたなシナプス形成(シナプトジェネシス)の分子機序を解明する。これまで接着分子Necl-1を解析しシナプス形成に機能しているこを解明したが、さらに公開されている網膜細胞のSingle cell解析データをサブ解析すると、シナプス接着分子Necl-1は、網膜OFF経路を形成するOFF錐体双極細胞に特異的に存在することを見出した。これまでの実験結果と合致する。 一方、高眼圧マウスモデルを用い、二光子顕微鏡を用いて網膜神経関連接着分子をモニターするための観察系を作成している。これまで眼球を脱臼させて横から視神経乳頭を観察していたが、観察中の眼圧上昇が課題であった。そこで、前方から観察する系を作成している。小動物では眼球内の観察に光学的に焦点を結ぶことが困難である。この困難を克服するため、角膜に特殊に加工したコンタクトレンズを乗せ屈折を合わせた。さらに、近距離で虚像を形成するための物理的なシミュレーションにより必要な二光子顕微鏡対物レンズの度数をワーキング距離を求めた。今後、これら必要なスペックのレンズをメーカーと共同で探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設の改築により一旦形成したコロニーを閉じ、立ち上げなおしたため実験系の確立に時間を要したこと、二光子顕微鏡を用いて網膜神経関連接着分子をモニターするための観察系を作成してきた眼球を脱臼させて横から視神経乳頭を観察する方法には観察中の眼圧上昇という課題があった。そこで、前方から観察する系を別途作成したことで遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
新しい動物実験施設でコロニーを再度形成しており、実験が再開できる。さらに、二光子顕微鏡の系で前方から観察する系を別途作成したが、さらにメーカーの協力でよりスペックの適正なレンズの使用が可能となって来たことから、研究を推進できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で学会参加がなくなり旅費の計上分が残った。また、動物実験施設の建て替えの影響で遅延した実験の材料費用として使用することで研究を推進する。
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