研究課題/領域番号 |
18K09409
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
楠原 仙太郎 神戸大学, 医学研究科, 講師 (40437463)
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研究分担者 |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00570342)
橘 吉寿 神戸大学, 医学研究科, 講師 (50373197)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病網膜症 / アストロサイト / neurovascular unit / in vivoイメージング |
研究実績の概要 |
糖尿病網膜におけるneurovascular unit障害とアストロサイトを標識し2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングを行った。 1. 研究内容:糖尿病マウス網膜におけるneurovascular unit障害の進行を明らかにするためにneurovascular unit構成細胞である、血管内皮細胞、周皮細胞、アストロサイト、網膜神経節細胞、ミクログリア、細胞外マトリックスの変化を免疫染色で経時的(生後4週、12週、20週)に評価しコントロールマウスと糖尿病マウス(InsCre;Pdk1flox/floxマウス)での比較を行ったところ、生後12週から細胞外マトリクスと網膜神経節細胞の変化が出現するがその他の細胞については明らかな形態変化が認められなかった(ミクログリアについては染色が上手くワークしなかったことからCx3cr1-GFPマウスを用いた解析を予定している)。網膜アストロサイトのin vivoイメージングについてはアデノ随伴ウイルスの硝子体注射によってアストロサイトを標識し撮影することに成功しているが予想に反して動きが少なく活動性の評価が難しいと思われた。また網膜像の解像度を向上させるために撮影用コンタクトレンズをさらに改良した。 2. 研究の意義: 実験結果から持続高血糖下では明らかなアストロサイト形態異常が生じる前に網膜神経節細胞障害が生じていることが確認できた。この段階におけるアストロサイトの機能的変化を可視化できれば高血糖におけるneurovascular unit障害を早期に評価できると考える。 3. 研究の重要性:本研究によって糖尿病早期における細胞レベルでの網膜機能評価を可能にするする技術が確立されれば糖尿病網膜症による失明予防に大いに貢献できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病マウス網膜におけるneurovascular unit障害の進行の確認についてはほぼ達成されている。網膜アストロサイトのin vivoイメージングについては、アデノ随伴ウイルスの硝子体注射を用いてアストロサイトの標識に成功している。並行してアストロサイト死を誘導する遺伝子改変マウスの準備を進めていることから、現在の所、おおむね順調に実験が進んでいるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
アストロサイトの動きが予想に反して小さかったことから細胞内カルシウムイメージングを用いた評価に切り替えることとした。後は、当初の研究計画にあったアストロサイト死を誘導する遺伝子改変マウスでの解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、マウスの飼育やウイルスの購入などでまとまった支出が想定されることから、複数年にわたる支出を前提に研究資金を使用した。結果として次年度使用額が生じたが、これは研究の進捗状況から次年度に相当の支出が見込まれることを想定してのものである。H30年度の研究が予定通りに進んだことから経費については交付申請どおりの使用を計画している。
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