研究課題/領域番号 |
18K09415
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
稲富 周一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10437999)
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研究分担者 |
大黒 浩 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30203748)
日景 史人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30837547)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血管内皮細胞 / タイト結合 / 糖尿病網膜症 |
研究実績の概要 |
糖尿病モデルラットから初代微小脳血管内皮細胞を分離・培養しその内皮細胞のバリヤ機能を制御するタイト結合関連分子の発現と局在などの形態とそのバリヤ機能(透過性または抵抗)を検討し、糖尿病網膜症における微小血管内皮細胞の機能異常を分子レベルで解明することが本研究の目的である。昨年度に糖尿病モデルラットであるSDTラットの脳から微小脳血管内皮細胞の分離培養に成功し、細胞間接着分子であるOccludinとタイト結合関連分子であるClaudin-5(Cld-5)発現と局在をウエスタンブロット法及び免疫染色にて確認し、OccludinとCld-5がco-localizeしていることを確認した。本年度は過去に示された脳血管内皮のタイト結合機能がcAMPによって制御されていることより脳血管内皮細胞にcAMPを作用させると、タイト結合バリヤー機能の指標である経上皮電気抵抗(transepithelial electrical resistance (TER))(バリヤー機能が高いほどTERが高くなる)が3~4倍上昇することを確認した。また、グリア細胞から分泌される神経細胞に対し、生存維持作用を持つグリア細胞株由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF))が、脳血管内皮細胞のタイト結合のバリヤー機能を亢進することを見出した。また、GDNFが網膜血管のバリヤー機能を亢進させる作用があること確認し、現在GDNFがVEGFを介してタイト結合関連蛋白の発現に与える影響を検討しているが正常ラットの微小脳血管内皮細胞でのGDNFによるタイト結合関連蛋白の発現の優位さを蛋白レベル及びmRNAレベルで認めていない。今後、GDNFがVEGFを介して血管内皮細胞へ与える影響を検討するとともにVEGF自体が血管内皮細胞へ及ぼす影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点でGDNFが微小脳血管内皮細胞のバリヤ機能に及ぼす影響をTEERを測定することにより検討できているが、そのバリヤ機能の増強するメカニズムについて分子レベルでは解明できていない。当初はウエスタンブロット及びPCRにてタイト結合関連蛋白の発現の有意差を検討する予定であったが、再現性に乏しく進達状況はやや遅れているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方法は今まで通りGDNFがVEGFを介して微小脳血管内皮細胞に及ぼす影響を分子レベルで検討すると同時にVEGF自体が糖尿病モデルラットの微小脳血管内皮細胞のタイト結合関連蛋白の発現に及ぼす影響を検討する。これまでどおりTEERにて細胞間接着の抵抗を測定するとともにラジオアイソトープで標識された分子量の異なるMannnitolとInulinの透過性を調べることで、実際にGDNFが糖尿病モデルラットの微小脳血管内皮細胞間のバリヤ機能に及ぼす影響を検討する予定である。
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