研究課題
【目的】TNX欠失(KO)マウスでは角膜上皮創傷治癒における角膜知覚神経の形態形成と角膜上皮創傷治癒過程での神経ペプチド発現の変化をC57/BL6(WT)マウスと比較検討した。【方法】(1)片眼に直径2mmの角膜上皮欠損モデルを作製した。創閉鎖まで6時間おきにフルオレスセインで染色し、角膜上皮欠損の治癒過程を実体顕微鏡で撮影し欠損残存面積を統計学的に比較検討した。また各ステージごとに 眼球を摘出し、パラフィン切片を作成後、組織学的、免疫組織学的に比較検討した。(2) 同モデルで経時的に屠殺後摘出したWTとKOマウスの角膜をTUJ1で免疫染色し、フラットマウント標本で蛍光顕微鏡下で観察し、角膜知覚神経の形態と再生の程度を比較検討した。(3)WTとKOマウスを使用しコシェボネ角膜知覚計を用いて角膜知覚を計測し比較検討した。【結果】(1)KOマウスではWTマウスと比較し角膜上皮欠損の閉鎖が12時間後、18時間後、24時間後で有意に著明に遅延した。テネイシンXは創傷なしではWTマウスの角膜中央部にほとんど発現していないが、角膜上皮欠損作製後に24時間後をピークとして角膜上皮基底部を中心に発現が増強した。HE染色ではWTでは著名な炎症細胞の浸潤をみとめたが、KOでは炎症細胞の浸潤が抑制されていた。phospho p38、MPO、IL-6はKOで角膜上皮基底部の発現が抑制されていた。F4/80はWTとKOで差はみられなかった。(2)創傷なしの角膜中央部ではWT、KO共に知覚神経が密に存在していることが確認されWTとKOで差はみられなかった。24時間後の上皮再生部分においてはWTとKOで明らかな差はみられなかった。(3)KOで角膜知覚は有意に低下していた。【結論】TNXは角膜上皮治癒に必要である。TNXの角膜知覚神経構築への関与は免疫染色では確認されなかった。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、TNX欠失マウスが生まれ次第順次実験を遂行している。
今後、TNX欠失マウスの繁殖が順調に行けば、n数を必要とするreal time RT-PCRでの定量的な比較検討に以降できる。また TRPファミリーとの関連も順次調査する予定である。
実験計画遂行にあたり当教室の在庫試薬を使用できたため計画より使用額が少なかった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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