研究課題/領域番号 |
18K09419
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40433362)
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研究分担者 |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264891)
山中 修 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50254545)
平井 秀一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80228759)
松本 健一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30202328)
小出 隆規 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70322253)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | テネイシンX / 角膜上皮創傷治癒 |
研究実績の概要 |
【目的】テネイシンX(TNX)欠失マウス(KO)では角膜上皮創傷治癒過程で角膜上皮欠損の閉鎖が12時間後、18時間後、24時間後で有意に著明に遅延するが、角膜知覚神経構築への関与は免疫染色では確認されなかったことを一昨年に報告した。本年は昨年に続き遅延の機序解明を目的とした最新の研究結果を報告する。 【結果】創傷治癒に関連するメディエーターおよび炎症性細胞浸潤は、組織学、免疫組織化学、リアルタイムRT-PCRによって検出された。TNXは擦過した野生型マウス(WT)の角膜上皮でアップレギュレートされた。TNXの欠失は、WTと比較して上皮治癒を遅延させ、好中球の創傷周辺への浸潤を加速させた。創傷治癒に関連する炎症誘発性および修復性成分であるインターロイキン-6、トランスフォーミング成長因子β、マトリックスメタロプロテイナーゼの発現は、TNXの欠失による影響を受けなかった。KOの治癒上皮ではWTと比較してマロンジアルデヒド(脂質過酸化由来の生成物)の著明な蓄積が観察された。抗体の全身投与によって誘発した好中球減少症のマウスでは、角膜上皮細胞のマロンジアルデヒドレベルの低下とともに、KO角膜の上皮治癒の障害をレスキューした。またN-Acetyl-L-cysteineが、マロンジアルデヒドの組織レベルの低下を伴う上皮治癒の障害をレスキューした。 【結論】TNXの欠失は、マウスの角膜上皮創傷治癒を延長し、角膜上皮切除に対する好中球性炎症反応を増加させました。TNXは、上皮再生反応をサポートし、酸化ストレスメディエーターが細胞毒性レベルに上昇するのを防ぐために必要な好中球浸潤の制御に貢献します。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、TNX欠失マウスが生まれ次第順次実験を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
テネイシンX欠失マウスと野生型マウスの三叉神経節から分離した培養神経細胞を用いてTRP 型カチオンチャネル受容体および神経ペプチドの発現パターンを検索する。 また、テネイシンX欠失マウスで角膜上皮創傷治癒の遅延がみられたことから、角膜実質切開モデルでの創傷治癒も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画遂行にあたり当教室の在庫試薬を使用できたため計画より使用額が少なかった。
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