研究課題/領域番号 |
18K09428
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
喜田 照代 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (90610105)
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研究分担者 |
奥 英弘 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (90177163)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網膜静脈閉塞症 / エンドセリン(ET-1) / エンドセリン1受容体 / 血管内皮増殖因子 / 高脂肪食 / 高血圧 / 網膜静脈圧 |
研究実績の概要 |
網膜静脈閉塞症(RVO)の病態解明に関して、血管収縮因子の一つであるエンドセリン1が関与している可能性があり、低濃度のエンドセリン1を尻尾より静注で全身投与を行うと、網膜の血管、静脈の局所的狭窄を引き起こすことがわかった。前年に引き続き、高血圧ラットおよび高脂肪食負荷ラット、対照ラットを用いて、エンドセリン1の網膜組織での発現を確認し、網脈絡膜血流測定も併せて行い、高血圧だけでなく脂質異常が網脈絡膜組織に与える影響について検討した。その結果、エンドセリン1の受容体の発現が高血圧ラット・高脂肪食ラット両方の網脈絡膜で対照に比較し亢進していたが、網脈絡膜血流の変化については、高血圧ラットで有意差がみられたが、高脂肪食ラットでは有意差がみられなかった。高脂肪食の食餌の投与量や観察期間などさらなる検討が必要であった。一方、脂質代謝に異常が生じるとNF-κB が活性化されTNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインの発現が増強することがわかっており、これらは黄斑浮腫にも関与する因子の一つであるため、NF-κBの網膜組織での発現をウエスタンブロット解析したところ、脂質異常ラットで有意に亢進していることは確認できたが、さらに網静脈血管に異常が引き起こす動物モデルの確立を目指し網脈絡膜組織でのエンドセリン1との関係を明らかにしていく必要があると思われる。また、報告した基礎研究の結果より、上記基礎研究だけでなく、引き続き臨床研究も並行して行っている。学会や研究会で発表を行った。脂質異常症のモデルとして自然発症アポE欠損マウスを用いて同様の反応がみられるか確認まで及ばなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エンドセリン1の受容体の発現は予想通り高血圧ラット・高脂肪食ラット両方の網脈絡膜で対照に比較し亢進していたが、網脈絡膜血流の変化については、高血圧ラットで有意差がみられたが、高脂肪食ラットでは有意差がみられなかった。食餌の投与量や観察期間などさらなる検討が必要であるため。 また、Covid-19感染拡大の影響により診療当番や病棟ベッドコントロールの必要性など、診療業務や会議出席などの増加により研究の遂行に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
脂質異常の網脈絡膜組織や静脈血管、血流への関与についてさらに検討したい。また、網膜ミュラー細胞などの培養細胞を用いた検討も行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19感染拡大の影響による業務が増え、研究遂行に遅れが生じ、前年度使用額を次年度に繰り越して使用することとなった。高脂肪食ラットの食餌や観察期間を変更しての検討や培養細胞を用いてエンドセリン1、NF-κB、VEGFの網膜細胞への影響について検討する予定である。また、自然発症アポE欠損マウスを用いた検討も行いそれらに研究費を使用したいと考えている。
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