研究課題/領域番号 |
18K09431
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
伊藤 正孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 再生発生学, 准教授 (30534896)
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研究分担者 |
竹内 大 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 教授 (40260939)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 涙腺 / 加齢 / ハーダー腺 / 炎症 |
研究実績の概要 |
初年度には涙腺における加齢の病態がどの様なものであるかを知るため、ヒトとマウスの涙腺を用いて、涙腺の組織構築の加齢変化を組織病理学的に検索した。ヒト涙腺は解剖学実習に供された献体組織を用い、マウス涙腺は8週齢から2年齢までのC57BL6系統のオス個体より採取し、パラフィン切片を作成したのち、HE染色および免疫組織化学染色を実施して組織像を観察した。解剖実習献体の平均年齢は82歳であった。観察の結果、加齢涙腺の組織像は、ヒトにおいてもマウスにおいても以下の点で幼若期とは大きく異なっていることがわかった。 1 加齢涙腺ではリンパ球浸潤を中心とした軽度の慢性炎症状態が生じている 2 加齢涙腺では一部でハーダー腺化と呼ばれる組織構築の変化が生じている 3 加齢涙腺では涙腺上皮細胞に細胞増殖が生じている これらの知見は2019年3月に新潟市で開催されたには日本解剖学会全国学術集会および5月にカナダバンクーバーで開催された国際学会にて報告した。 上記1~3の因果関係は明らかではないが、加齢涙腺では慢性炎症による組織の破壊と再構築の過程でハーダー腺化と上皮細胞の細胞増殖が生じているものと考えられる。この仮説のもと、次年度には、どの様なメカニズムでハーダー腺化が生じているのか、そして、どの様な液性因子の刺激のもとで上皮細胞の細胞の増殖が起こっているかなどについて検討し、加齢涙腺にも残存しているであろう組織幹細胞の賦活化の方法を探索してゆく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
涙腺における加齢の基礎的病態を組織学的に検討することから始めたために、また、ハーダー腺化というこれまでにあまり解析されてこなかった現象に着目したことから、進捗状況は当初の予定よりもやや遅れている。 初年度に、加齢に伴って涙腺に浸潤する炎症細胞のプロファイリングとサイトカインの定量を開始することができなかったことも想定外であったが、手技的な準備と環境は整っていることから、挽回に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、以下の方法により、どの様なメカニズムで加齢涙腺において組織の再構築やハーダー腺化が生じているのか、そして、どの様な液性因子の刺激のもとで上皮細胞の細胞の増殖が起こっているかなどについて検討し、加齢涙腺にも残存しているであろう組織幹細胞の賦活化の方法を探索してゆく方針である。すなわち、(1)加齢マウスの涙腺に浸潤する炎症細胞を免疫染色およびフローサイトメトリーにより同定し、涙腺に浸潤する炎症細胞のプロファイリングを行なってリンパ球のサブタイプを解析する。(2)加齢マウス涙腺の組織抽出液に含まれるサイトカインを Bio-PlexTM システムにより同定/定量する。これにより局所における炎症性サイトカインに起因する細胞障害の機序が推測される。(3)同涙腺の組織抽出液/抽出RNAに含まれるAGE, RAGE類、オステオポンチンおよびその下流の因子等(のmRNA)について、ELISA法または定量RT-PCR法により定量する。これによりAGE/RAGE, オステオポンチン等の加齢に伴って局所に沈着する因子と炎症反応の経路が推測される。 本研究を遂行する上での最大の律速段階は加齢マウスの供給である。現状で研究に必要な数の加齢マウスの準備は進めているが、やはり加齢には時間がかかる。そこで、涙腺に早期に加齢変化が生じる「早期涙腺加齢モデル」の検索も並行して進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当該年度に旅費を使用しなかったことによる。 次年度には旅費を使用する予定である。
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