研究課題/領域番号 |
18K09434
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
俵山 寛司 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20402414)
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研究分担者 |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HDAC阻害剤 / K560 / 興奮性網膜神経細胞死 / NMDA傷害モデル |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、研究分担者によって開発されたアイソタイプ選択的新規HDAC阻害剤K560による網膜神経保護作用機序を解明することを目的としている。これまで実施した実験結果から、K560のマウスへの経口投与では、網膜ヒストンのアセチレーション亢進の程度に個体差が生じることが明らかになり、研究を進める上でクリアすべき問題点となっていた。そこで、経口投与ではなく、硝子体投与によりK560をデリバリーすることに方針転換したものの、K560は極度に疎水性であるため、製剤化検討を実施することで水系溶媒におけるK560の分散性を高めることを試み、これに成功した。そこで本年度にはK560製剤を用いたマウス投与実験を実施した。K560製剤を硝子体投与したところ、網膜ライセート中ヒストンH3及びH4タンパクの濃度依存的なアセチレーション亢進が認められた。また、投与個体間でアセチレーション亢進の程度に大きな差は認められなかった。つまり経口投与での問題点を克服することに成功した。次にNMDA傷害モデルマウスを用いて、K560によるヒストンタンパクのアセチレーション亢進が網膜神経節細胞死に与える影響について検討した。その結果、K560製剤処理眼ではNMDA投与による網膜神経節細胞死が顕著にレスキューされた。得られた実験データをもとに、現在、論文の執筆を進めており、研究助成の最終年度となる2020年度はリバイス実験を含めた論文化作業にエフォートを集中する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験を終了し、得られた実験データをもとに既に論文執筆を進めているため、「おおむね順調に進展している。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は研究助成最終年度となるため、論文執筆及びリバイス実験にエフォートを注ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験を実施するにあたり、実験デザインを常に見直し効率化を図ったこと、また、想定の通りの実験データが得られたことから、最小限度の助成金使用額で研究を遂行することができた。これにより未使用金が発生した。当初策定した年度毎の研究費配分において、最終年度となる次年度の配分額が少ないこと、また、次年度には論文投稿とリバイス実験の実施を予定していることから、本年度の未使用金は、リバイス実験実施代、論文投稿代、また、研究成果を広く世界に公開するためのオープンアクセス選択オプション代として使用する。
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