研究課題/領域番号 |
18K09435
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
檜森 紀子 東北大学, 大学病院, 助教 (20705230)
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研究分担者 |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / ミトコンドリア障害 / 緑内障 / 神経保護 / ミューラー細胞 |
研究実績の概要 |
基礎研究では、ミトコンドリア障害は酸化ストレスの発生源として知られていることから、電子伝達系Complex I阻害によるミトコンドリア障害と酸化ストレスの転写因子Nrf2との関連について探索した。8週齢の野生型 (WT) マウスとNrf2 KOマウスにミトコンドリアComplex I阻害剤であるロテノン または0.5 % carboxymethyl cellulose (コントロール) を30日間経口投与し、酸化ストレスマーカー8OHdGを使用した免疫染色、網膜神経節細胞数を計測、網膜RT-PCR、グリア細胞の免疫染色を施行した。 WT・Nrf2 KOマウスともロテノン投与群ではコントロールと比べ8OHdG陽性細胞数の有意な増加を認めたが、RGC数では有意差を認めなかった。RT-PCRではロテノンを投与したNrf2 KOマウス群において、WT群と比較してGFAP、Vimentinの発現上昇を認め、免疫染色ではGFAP、Vimentinのシグナル増強を認め、Nrf2 KOマウスにおいてロテノンによるミトコンドリア障害は、網膜グリア細胞を活性化させることが示唆された。 臨床研究では、全身の酸化ストレスと角膜の可塑性を表すcorneal hysteresis(CH)との関連を検討した。当院緑内障外来に通院するOAG103名を対象とし、フリーラジカル分析装置を用いBAPを測定した。Ocular Response Analyzerを用いてCHを測定した。56歳(女性の平均年齢)以下ではBAPとCHは相関を認めないが、57歳以上では有意な相関を認めた。CHを目的変数とする重回帰分析では57歳以上女性OAGにおいてBAPの独立した寄与が明らかになった。高齢OAG女性では全身の抗酸化力が角膜の可塑性に影響を与えることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究ではロテノン投与によるミトコンドリア障害において、早期の神経節細胞死を引き起こすことを明らかにした。その際に酸化ストレスに脆弱なマウスではミューラー細胞が活性化することも明らかになった。 臨床研究では全身酸化ストレスが角膜の可塑性に影響を与えることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
ロテノンを投与することによってミューラー細胞の活性化が明らかになっており、vitroミューラー細胞培養でロテノン投与時に抗酸化酵素や神経保護因子の発現の程度を解析する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な経費をおさえることができたため、使用金額が予定よりも少なくなりました。
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