今年度は研究参加への同意が得られた視神経炎3例、ぶどう膜炎30例、緑内障(正常眼圧型)10例、ドライアイ(BUT短縮型)20例から糞便・唾液・結膜嚢洗浄液を採取し、Kim SWらの方法(DNA Res 2013)を用いてDNA抽出を行い、次世代シークエンスを実施した。結膜嚢洗浄液については、抽出DNAを用いてMultiplex PCRを行い、病原微生物の存在が疑われた症例は解析から外した(4例)。その後OTU (Operational taxonomic unit)解析によるグループ 化を行い、昨年度までの解析結果と合わせて公共データベースを用いた類似度検索を行って各症例サンプルでの細菌組成を決定した。視神経炎症例群も含む疾患群それぞれと健常者群との間で細菌叢のUniFrac解析を行った。 その結果ぶどう膜炎、緑内障、ドライアイ群それぞれで、健常者群とは異なる細菌組成が見い出された。更に得られたシークエンスデータからヒトリファレンス配列をBLAST解析を用いて除去し、Noguchi Hらの方法(DNA Res 2008)を用いてメタゲノム解析を行った。その結果各疾患毎に以下の数の細菌が疾患特異的細菌の候補として新たに同定された。即ち、視神経炎では腸内細菌1例、ぶどう膜炎では腸内細菌2例、口腔内細菌1例、結膜嚢細菌1例が、緑内障では腸内細菌1例、口腔内細菌1例、結膜嚢細菌1例が、 ドライアイでは腸内細菌2例、口腔内細菌2例、結膜嚢細菌2例がそれぞれ同定された。
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