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2020 年度 実施状況報告書

高齢視野狭窄患者の自動車運転能力の評価と運転支援

研究課題

研究課題/領域番号 18K09437
研究機関東京大学

研究代表者

国松 志保  東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (80301563)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード高齢視野狭窄患者 / ドライビングシミュレータ / 認知機能
研究実績の概要

視野狭窄患者の自動車運転能力を評価するために、視野狭窄をきたす代表疾患である緑内障患者を対象として、アイトラッキング搭載ドライビングシミュレータ(ETDS)を施行している。が、しかし、高齢視野狭窄患者では、視野障害に加えて認知機能や運動能力の低下も加わり、必ずしも視野障害だけが原因で事故が起こるとは限らない。2020年度は、ETDS事故と視野障害の一致・不一致に注目して検討した。
視野狭窄患者57名(平均年齢62.8±14.0歳)を対象とした。視力検査、Humphrey中心24-2プログラム(HFA24-2)、エスターマン視野検査、認知機能検査Mini-Mental State Examination(MMSE)、ETDSを施行した。ETDS時の視線の動きは、据え置き型眼球運動計測装置(Tobii Pro X3-120)にて測定し、左右からの飛び出しなど全15場面での事故の有無を記録した。HFA24-2より両眼重ね合わせ視野(integrated visual field; IVF)を作成し、若年群(50才未満, 11名)、中年群(50才~70才未満, 22名)、高齢群(70才以上, 24名)の3群に分けてETDS事故と視野障害が一致しているかを検討した。
その結果、若年、中年、高齢群では、視力、HFA24-2のMean Deviation値に有意差がないものの、高齢群ほどMMSEが低下していた(P=0.042, Kruskal-Wallis検定)。ETDS事故と視野障害の不一致率は、若年群では9.1±30.2%、中年群では12.5±32.5%、高齢群では37.9±45.1%と高齢になるほど増加していた(P=0.026, 同検定)。
70才以上の高齢視野障害患者は、視野障害と一致しない事故が増えるので、運転評価にあたっては注意が必要であることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍のため、受診控えがあり、視野狭窄患者にアイトラッキングを搭載したドライビングシミュレータでを施行するのに症例が集まらなかったため

今後の研究の推進方策

今回の結果をふまえて、視野狭窄患者の年齢や認知機能を考慮し、効果的な運転訓練方法を考案する。また、視野障害度および認知機能障害度に合わせた運転支援(信号の事前通知、自動ブレーキ等)を行い、その効果を判定する。信号や左右の飛び出しの情報を事前に与えることによる、視線の変化についても検討していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染拡大により、研究を十分に進めることができなかったため

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「視野障害と自動車事故」2020

    • 著者名/発表者名
      国松 志保
    • 雑誌名

      日本の眼科

      巻: 9 ページ: p1304-1309

  • [学会発表] 西葛西井上眼科病院運転外来における高齢緑内障患者の運転機能評価2020

    • 著者名/発表者名
      野村志穂
    • 学会等名
      日本緑内障学会

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公開日: 2021-12-27  

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