研究課題/領域番号 |
18K09439
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山下 英俊 山形大学, 医学部, 教授 (90158163)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 脈絡膜厚 / 遺伝子変異 / 日本人正常値 / 舟形町研究 |
研究実績の概要 |
1.脈絡膜の正常人での状態 眼疾患を有さない成人日本人の脈絡膜厚の分布は定まっていないことから、正常成人日本人の脈絡膜厚の正常値の推定と脈絡膜厚に関連する因子の検討を行った。山形県コホート研究・舟形町検診の受診者のうち、眼底疾患がある者を除いた340人340眼を対象とし、swept-source OCT(SS-OCT)で脈絡膜厚を測定した。測定値は平均219.5±76.7μmだった。また、脈絡膜厚と関連する因子を検討したところ、中性脂肪、眼軸長、拡張期血圧が関連するとの結果だった。 2.網膜の炎症の病態と脈絡膜の炎症の病態、この2つの病態がどのように関連して、糖尿病網膜症を難治なものにするのかを検討した。糖尿病網膜症は高血糖により網膜血管が傷害され、血管透過性亢進、血管閉塞、新生血管の発症と病態が進行し視機能低下をきたす疾患である。近年、糖尿病網膜症の眼では網膜のみならず脈絡膜の循環障害も来していることや、脈絡膜厚が変化していることが報告されている。本研究では糖尿病網膜症と脈絡膜病態の関連を解析することを目的としている。糖尿病網膜症に特異的な変化が生じるのか検討するためには正常での脈絡膜厚や循環動態を把握する必要があるが、眼科を受診した糖尿病と診断されているが糖尿病網膜症を発症していない成人日本人の脈絡膜厚を測定した。4例8眼で83〜378μmであった。 3.糖尿病網膜症の病態に関与する脈絡膜病態の意義を明らかにするために病態に関連する可能性のある新しい遺伝因子検討した。対象は山形県コホート研究・舟形町検診の受診者のうち、データ検討が可能だった180例の中心脈絡膜厚と各遺伝子の一塩基多型群の全てを対象に統計学的検討、有意差を認めたのはPON1rs2074351とPON1rs662の一塩基多型であった。 4.炎症の分子メカニズムに関連する因子の検証と創薬ターゲットとして検討を行った。ステロイド点眼の治療効果が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、交付申請において、4つの研究目的を設定した。 1.脈絡膜の正常人での状態:眼疾患を有さない成人日本人の脈絡膜厚の分布を山形県コホート研究・舟形町検診の受診者のうち、眼底疾患がある者を除いた340人340眼を対象とし、平均219.5±76.7μmだったことを明らかにした。2.網膜の炎症の病態と脈絡膜の炎症の病態、この2つの病態がどのように関連して、糖尿病網膜症を難治なものにするのかを検討した。本研究では糖尿病網膜症と脈絡膜病態の関連を解析することを目的としている。糖尿病網膜症に特異的な変化が生じるのか検討するためには正常での脈絡膜厚や循環動態を把握する必要があるが、眼科を受診した糖尿病と診断されているが糖尿病網膜症を発症していない成人日本人の脈絡膜厚を測定した。4例8眼で83〜378μmであることを明らかにした。3.糖尿病網膜症の病態に関与する脈絡膜病態の意義を明らかにするために病態に関連する可能性のある新しい遺伝因子を、山形県コホート研究・舟形町検診の受診者データ検討からPON1rs2074351とPON1rs662の一塩基多型が認められたこと。 以上から、おおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病網膜症の病態に関与する脈絡膜病態の意義を明らかにし、さらにこの病態に関与する新しい分子ターゲットを明らかにし、創薬の戦略を構築する。 ①網膜と脈絡膜の正常値の設定:網膜と脈絡膜を画像診断し、炎症などの病的な状態を示す画像情報としてどのような情報を利用できるかを、正常人、糖尿病患者眼で検討する。②糖尿病患者眼としては山形大学医学部附属病院眼科糖尿病網膜症外来において、糖尿病網膜症・黄斑症、脈絡膜の病態を、眼底写真、蛍光眼底写真、OCTにより観察しデータとして蓄積する。糖尿病患者におけるデータを2018年度の症例数の上乗せを目指す。③糖尿病患者で網膜病態、脈絡膜病態の解析 上記①および②で蓄積したデータを用いて、網膜および脈絡膜病態の関連、それに関連する遺伝子多型について統計学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床的な研究により、糖尿病網膜症及び加齢黄斑変性症、ぶどう膜炎の症例の脈路膜及び網膜を検討している。このため、対象となる症例を外来で集めるために計画実行が次年度にもずれこんでいる。ちなみに、山形大学医学部倫理委員会においてこの臨床研究は承認されているので、研究の遂行には問題がない。
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