研究実績の概要 |
ラットで網膜中心動脈閉塞症のモデル動物作成を用いて、90分の網膜の虚血後に再灌流を行い、3日後、7日後に眼球摘出し、ラット眼球の組織切片を作成し、HE染色後に網膜内層(内境界膜から外網状層まで)の厚みを測定した。再灌流後3日、7日のH2(-)群では、それぞれ85.9±6.3μm, 60.8±6.7μmとコントロールの109.2±10.7μm と比較して減少がみられた。一方で90分の虚血作成時に同時に1.8%の水素ガス吸入を行った水素ガス吸入群(H2(+)群)では、3日後、7日後のラット網膜内層の厚みはそれぞれ102.3±23.6μm, 107.2±16.0μmと水素ガス吸入が網膜の保護作用があることが示された。
さらに免疫組織染色を行った。網膜内のマイクログリアにはIonized calcium binding adapter molecule 1(Iba-1)抗体、アストロサイトにはGlial fibrillary acidic protein(GFAP)抗体を用いた。虚血再灌流3、7日後のH2(-)群では無処置群にみられる網膜表層のアストロサイトの網膜内層に伸長する突起が消失し、無処置群に比べアストロサイトが増加していた。一方で3、7日後のH2(+)群では網膜表層のアストロサイトは、網膜内層に突起を伸長し、無処置群に比較してアストロサイトの突起は増加していた(3日>7日)。7日後のH2(+)群では7日後のH2(-)群と比較してアストロサイトが少なかった。 3日後のH2(-)群のIba1の免疫染色像では網膜下へ多数のミクログリアが浸潤する像が観察された。しかし、H2(+)群では網膜下へミクログリアが浸潤する程度は軽度であった。7日後のH2(-)群では網膜の菲薄化がみられ、ミクログリアの浸潤はほとんど観察されなかった。
現在、論文を投稿中である。
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