研究実績の概要 |
本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。作製したCy5.5内包リポソームからのCy5.5漏出量を評価した。改良コール酸除去法により、HSA-Cy5.5内包リポソーム溶液を得た。リポソームは粒子径130nm、ζ電位-13.4mV、HSA-Cy5.5濃度3.05mg/ml、脂質濃度3.61mg/ml、HSA-Cy5.5/脂質0.84mg/mlであった。漏出量の検討は以下の通りに行った。8 mLの生理食塩水にリポソームを0.1 mL添加し37 ℃の恒温装置内に静置した。0, 3, 7, 14, 30, 45, 60日後に、1mlを抽出し、限外濾過により、漏出したHSA-Cy5.5を除去し粒子径分布、ゼータ電位、定量を行った。粒子径は、0, 3, 7, 14, 30, 45, 60日後に各々、130, 523, 429, 475, 477, 443, 404nmとなり、3日後に大きく大粒径側にシフトした。リポソームからの漏出量は、3, 7, 14, 30, 45, 60日後に各々、55.0, 54.6, 53.6, 59.5, 62.4, 55.9%となり、60日後までほぼ一定の漏出率であった。粒子径分布の変動が大きく、リポソームが3日程度で不安定化し、抗体を漏出していると考えられた。リポソーム表面上をアルブミンコートすることでリポソームの安定化を図った。その結果、粒子径は、0, 3, 7, 14, 30, 45, 60日後に各々、130, 119, 121, 133, 136, 147, 150nmとなった。30日間は粒子径分布に大きな変化は認められなかったが、60日後には、粒子径分布の幅が大きくなった。漏出率に関しては、3, 45日後において、8, 36%と初期は低い漏出率を示し、経日的な漏出率の増加が認められた。徐放効果がある蛍光標識リポソームが作製できることが判明した。
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