研究課題
我々は血液網膜関門の調節因子であるADAM12(A disintegrin and metalloproteinase 12),ADAM17,basiginと慢性炎症性眼疾患における病態への関与を解析することを目的として研究を進めてきた。昨年度までに, ADAM12,ADAM17およびbasiginのノックダウンモデルの作成を確立した。今年度は網膜への細胞浸潤の観点から,オメガ3脂肪酸とそのチトクロームP450代謝産物により主導的な役割を担う免疫細胞の同定を行った。その結果,マウス加齢黄斑変性モデルではCX3CR1+/ Ly-6C+マクロファージが抗炎症作用のメカニズムに関わっていることが明らかとなった。さらに,血液網膜バリアの調節因子として炎症/酸化ストレス関連因子をタンパク質レベルおよび遺伝子レベルで検討した。オメガ3脂肪酸によりサイトカイン(IL-1β)、ケモカイン (MCP-1, G-CSF)、酸化ストレス(Nox4) が抑制されていた。今後は血液網膜バリアを制御するADAM12、,ADAM17,basiginのノックアウトマウスを用いて,脈絡膜新生に対する効果を解析し、CYPを用いて血液網膜バリアを修復し,滲出型AMDに特徴的な脈絡膜新生血管が縮小させることを検討する予定である。その上で,創薬に向けた疾患モデルにおける実効性検証を行う。血液網膜関門を制御することで慢性炎症を抑制しうるCYP代謝産物、共通因子または因子カクテルをデザインし,疾患モデルで効果を検証する。以上をふまえ,臨床応用を行い新規の加齢黄斑変性の治療を確立する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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